電子マネー(felica)はまだまだ利用価値がある

日本の経済産業省はキャッシュレス化を推進しています。
理由としては、消費者が多額の現金を持たずに買い物ができること、紛失リスクが現金と比べて軽減されることなどが挙げられますが、最大のメリットはコストのかかる現金管理の手間を軽減することです。
現金決済は、現金の管理にもかなりの出費が伴い、事業所では合致しているか否かをチェックする手間も発生します。
運営にかなりの人手を使う小売業の世界では、レジ人員の人件費は40%を超えており、決済方法をいかに簡便化してレジ人員を抑えることができるか(アメリカの小型店舗ではレジはセルフレジを採用しています)、が生命線になっていると言っても過言ではありません。
少子高齢化により、すでに深刻な人手不足に陥っている日本で人手をかける業務はナンセンスです。

しかし国家としてはキャッシュレスを推進していますが、公共機関の支払いの際に、多用されるのは実は現金がまだ主流です。
ところがイギリスでは、公的サービスの料金支払いにコンタクトレス決済の代表格であるApple PayとGoogle Payによる支払いが可能であり、国民へのサービスへのサービスの強化がなされています。またそれはその都度、カード情報を入力する必要がなくなるため、セキュリティの強化にもつながっています。
その効果としてイギリスの実行担当大臣オリーバー・ドーデン氏は「政府サービスへのアクセスをできるだけ簡単にすること」「モバイル決済の導入により安全に使えること」「詐欺のリスクの低減」「コストの削減」が期待できる効果としています。
アメリカではデビットカードも採用されており、前述のApple Payなどのモバイル決済も順次導入されています。
日本ではこの点、公共サービスでは、政府の掛け声だけで、自身が提供する公的サービスにおいてモバイル決済を採用していない点が泣かせます。

しかし、これも昨年あたりから徐々に風向きが変わってきています。

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日本でも徐々に公的サービスへの電子決済の提供が始まっている。

茨城県日立市の電子マネー導入の件
日本の場合キャッシュレス化は、掛け声だけで、お役所では遅々として進まない状態でしたが、2019年7月1日より茨城県日立市において市役所や市内公共施設に電子マネー決済システムを導入しています。
これは昨年、国が公共料金の支払に関して電子マネー決済に関して緩和する考えを示したことから推進がはじまり導入に至っています。

採用している電子マネーは
・Suicaなどの交通系IC9種類
・nanaco
・WAON
・楽天edy
・iD
・QuicPay
とほぼ網羅しています。

この電子マネーの問題点は、交通系以外は相互の利用ができず、利用できる店舗や施設が限定される点ですが、やるとなったら上記のように14種類も導入して初めて電子マネー決済ができるという実感が湧くことです。

なぜなら電子マネーは、その読み込みの速さからSuicaなどの交通系で採用されているため、交通系は外せないことと、通常利用している商業施設が囲い込みのために採用している側面が強く、個人個人で利用している電子マネーは異なるからです。

また近年では、~Payが一斉に登場しておりややカオスな感じが増大しています。
ただしApple PayはiDやSuicaでの利用が可能、Google PayはQuic PayとSuicaによる利用が可能、LINE Payは「Google Pay」上でQuic Payで利用可能、メルペイはiDで支払い可能と各種ペイメントサービスでも電子マネーを間接的に利用可能としていますので、日立市のようにポストペイ方式のiDやQuic Payが利用可であれば、どれかが利用できます。

このような状態だと、イギリスのようにApple PayやGoogle PayがNFC(EMVコンタクトレス)を日本版で採用してくれればVisaやMasterブランドEMVコンタクトレスに対応できる端末を装備すれば利用できるわけですので、~Payが多すぎる問題が一挙にスッキリします。

このEMVコンタクトレスは、小売側の対応としては2020年度中に小売大手イオン全店で採用される予定であり、マクドナルドやローソンではすでに採用されています。このように対応店舗が増えればペイメントの事業者も採用を始めるため、Apple PayやGoogle Payでの採用はイオンなどの全店での採用で広まり始めてからでしょう。

そうなると正直iDやQuic Payなどのポストペイ方式電子マネーは利用施設が限られる現在の仕様では、EMVコンタクトレスが本格導入されるまでの一時的なつなぎに近い位置づけに終わりそうです。

またコード決済業者のLINE Payでは、リアルカードとしてVISAブランドのクレジットカードがVisa Pay Wave(EMVコンタクトレス)に対応予定であり、準備は始まっていると見られます。
※このカードは8月から予約受付開始されます。

交通系IC導入のコストは異常に高い

しかし、公共料金の中でも公共交通機関であるバスや電車では、処理速度が段違いに早く、多数の利用客を処理するのに向いているのに対して、前述のコード決済は全く向いていませんし、NFCも若干処理速度で劣後します。
やはり公共交通機関の利用はfelicaが向いているのです。

ただ問題としては、イニシャルコストが非常に高く、例えばバスであれば保有台数によって状況は異なりますが、実例ではイニシャルコスト(導入費用)はバス1台あたり90万円、バスの保有台数が少ない事業者では1台あたり160万円近く導入にかかっています。

この数値は経営に影響を与えるほどの大きな数値で、実際にはこれ以上に大変なのはサーバーや駅務機器等の設置や光ケーブルの敷設などが負担として重くのしかかってきます。
そのため現実の問題として、ICカードで公共交通機関に乗れない地域が、まだ存在しICカードを入れていても相互利用可能なものではなく独自ICであるという場合も存在しまだまだ不便な状態です。

しかし、この問題に対して突破口が開けそうな案件が近年登場しています。

WAONによる多区間運賃決済

大分のモバイルクリエイト株式会社が開発したWAONによる多区間運賃決済で2019年2月に北海道のバスで運用を順次開始しています。

この決済システムの特徴は
①コストが安いこと)通信可能な車載器を搭載する形式であるため、事務所や営業所にサーバーを構築する必要がないため、初期費用が抑えられます。
②カード管理がラク)すでに全国区で流通しているWAONを利用するため、販売に関する費用やカード発行などの運営業務も省けます。
③利用者はカード・ポイントを効率的にまとめられる)商業施設で利用しているWAONを利用するので、ポイントを集約し利用できます。
また、モバイルWAON、Google PayでもWAONは利用できるため、モバイルで利用可能です。

「コストが安いこと」については、正確な数値は不明ですが、 相互利用できる交通系IC を採用せずWAON多区間運賃決済を採用したことから、決定的にコストが安いことは間違いないでしょう。

前述の通りfelicaは公共交通機関と相性がよいものの、採用した公共交通機関の決済システムの導入コストは、車両の台数というよりも、サーバー設置などのコストが大きく、車両台数の少ない小規模事業者のほうが相対的なコストは重いと想定できます。国の補助があるとはいえ、このように負担が重くなかなか進んでいません。
国家的には2015年の閣議決定で「交通計画基本計画」では2020年に向けて全国で相互利用できる交通系ICを導入するという目標を定めていますが、これもまた進捗は遅くまだ相互利用できる交通系ICが未導入の県は6県も残っています。

当事者も手をこまねいているわけではなく、経営課題として取り組んで入るようですが、やはり問題はコストでしょう。
しかし進まない限りは、キャッシュレス化ができず、作業が軽減できず人手不足な現状の状態を脱却することができません。

felicaは、決済の利便性は最初の仕様で失敗してしまったために(香港のオクトパスカードは決済機能は一元化されている)、NFC Pay(EMVコンタクトレス)が普及すると駆逐されるかも知れませんが、処理の速さから公共交通機関の決済にはやはり最適です。
WAONの実例のように、導入コストを安くできる方法が登場し始めているので、汎用性の高い電子マネーを公共交通機関に導入していって、地方の利便性を高めていってほしいものです。

⬆WAONは、店頭決済のみならず税金などの公金支払いにも利用できます。
中でもオートチャージでポイントが付与されるイオンカードセレクトは非常に利便性が高いです。