楽天の株価は今後どうなる?投資する理由と事業の可能性

こんにちは、cohamizu(@cohamizu1)です。

4755楽天グループは、下落ウェッジを上放れた2023年6月29日以降買い判断として保有し続けています。

4755楽天グループ日足

株式投資は、決算で判明する経営数値だけでは判断できず事業の可能性を評価すべきであることは、かつて赤字続きだったAmazon・Teslaの事例を見れば明らかです。

確かに楽天モバイル事業で抱えた負債は2兆1,537億円に達し、2015年に2,300円あった株価は最悪期には466円にまで下落し1/5になってしまっています。

普通なら怖くて投資できないはずですが、当方は「もう楽天はだめかも」・「楽天は解体だ」と盛んに騒がれていたころから着々と買い進めています。

なぜかというと楽天グループの事業に大きな可能性を見出しているからです。

確かに楽天市場楽天銀行楽天カード楽天証券といったフィンテック事業は、どれも日本最高のレベルのサービスとシェアを誇り、利益を叩き出しており今後も業績を拡大させると考えていますが、大きな可能性を感じるほどではありません。

では楽天グループの何に可能性を見出しているかというと、『携帯電話ネットワークの完全仮想化』という強力な武器です。

この世界で何者も成し遂げたことがないことを楽天モバイルが世界に先駆けて成功させました。

今後はこの『携帯電話ネットワークの完全仮想化』というノウハウを欲しがる国や地域に売ることも、協力関係を条件に提供することもできます。

楽天がいう「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」というパッケージングされた武器が売れれば、莫大な設備投資が必要になる携帯電話事業を相手にしたビジネスは膨大な利益が期待でき、赤字の元凶である楽天モバイルが必ずしも黒字化する必要はありません。

しかも2023年秋~2024年には課題だったプラチナバンドを手に入れて、建物・地下などで繋がりにくいという欠点を克服することもできます。

楽天モバイルの投資が一巡し利用者も一層の拡大が期待できる状況になれば、新事業で資金が消えて他の事業でサービスレベルが改悪して苦戦していった状況から反転攻勢し本来の衝力を発揮してくるはずです。

ちょうど10年前12ドル程度だったAmazonの株価は、現在は10倍以上の129ドルですが、同じことが楽天にも起きるかもしれません。

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楽天は世界初の「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」を実現した。

楽天モバイルは、MVNO(仮想移動体通信事業者)でサービスを開始した頃から使っており、そのときはドコモ回線を借り受けたサービス展開でお世辞にも通信状況が良いとはいえませんでした。

MVNOに切り替えた動機は、3大キャリアのプランでは夫婦で1万円前半ほどの高額な料金だったことで、楽天モバイルに切り替えただけで夫婦で4千円足らずにまで通信費が削減できたのは大きな節約になりました。

しかし楽天はMVNOにとどまらず2019年10月に3大キャリアに次ぐ4番目の移動体通信事業者(MVN)として事業に参入してきました。

完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークとは?

楽天は2019年10月から『携帯電話ネットワークの完全仮想化』を引っ提げて携帯電話事業に参入してきました。

「仮想化」とは、例えば文章を書くときは専用機器であるワープロを使っていたものが、PCにインストールしたMicrosoft OfficeのワードによってどのPCでも文章を書けるようになったことが好例でしょう。

しかも現在はMicrosoft Officeもクラウドなので、どのPCからでもサインインして編集することができるようになっています。

つまり専用機器とそれ専用のソフトウェアで実行していた機能を仮想化してクラウドでまとめることで、専用機器以外の汎用ハードウェアが利用可能になり、設備投資を最小限で抑えて運用することができるようになります。

楽天モバイル仮想化引用:楽天モバイル

これに対してこれまでの携帯電話のネットワークの構築は、ノキア・エリクソン・ファーウェイで世界の8割を占めており、無線アクセスネットワークの発注をすると端末・ストレージ・サーバーなどハードウェアはすべてこのRANベンダー仕様で、まるごとネットワークの構築を委ねるしかありません。

そうなるとハードまでRANベンダーの専用ハードなので、競争がなく言い値でハードまでまるごと購入することになります。

一方で楽天の場合は、ハードとソフトが分離している(Open RAN)ので、発注者は安い汎用ハードを組み合わせてネットワークを構築できます。

この場合、楽天の「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」は、従来のネットワークに比べて設備投資が30%、運用コストが40%も安くなり、これから次世代方式への移行時のコストも考えてネットワークの再構築を考えている携帯電話会社にとって魅力的な条件になるはずです。

楽天は、この「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」をパッケージングして世界の通信会社に売り込みをかけています。

通信インフラで締め出しを喰らったファーウェイのシェアを楽天が取る

前述の通り携帯電話のネットワークの構築は、ノキア・エリクソン・ファーウェイで世界の8割、5Gでは7割近くのシェアです。

この市場規模は、世界では年間で15兆円以上あり、これらから楽天が成功させた「完全仮想化/Open RAN」に移行しようという国や通信大手が出始めるとシェアが変わってくるはずです。

とくにファーウェイは、安全保障の観点から5Gの通信インフラから欧米各国から締め出しを喰らっており、これまでファーウェイの価格の安さに依存していた国や通信大手は、発注するにあたってノキア・エリクソンが割高な点に頭を抱えていたはずです。

ここに遥かに安い楽天の「完全仮想化/Open RAN」が登場したため、ファーウェイからの切替需要は全部ではないにせよ、かなりの部分を奪うはずです。

ちなみにファーウェイのインフラ事業の売上は年間6兆円規模、純利益は15%と1兆円近くあります。

一方で楽天モバイルの営業損失は半期で1,850億円なので、これを通信インフラ事業で穴埋めする場合、年間ならおよそ2兆4,000億円ほどの売上を楽天モバイル傘下の楽天シンフォニーで叩き出せば良いという計算になります。

確かにこれはなかなか大変なことですが、世界初で携帯電話のネットワークで「完全仮想化/Open RAN」を成し遂げたノウハウに魅力を感じる国や通信大手はかなりあるはずです。

楽天の本領発揮はこれから

ノキア・エリクソン・ファーウェイが上位を占める通信インフラ事業に割って入るということは、これはなかなか大変なことですし、楽天グループの営業損失も2022年度は3,728億円の赤字と決して楽観できるものではありません。

楽天グループ営業利益
楽天グループ営業利益単年度推移

それどころかほとんどの日本人は、この営業利益を見て「楽天はもう駄目だ」と思っているはずです。

しかしこれはプラチナバンドがなく繋がりにくいという不利な条件で、しかも莫大な設備投資が必要になる携帯電話事業ではこれだけの赤字になるのは至極当然です。

ところが2023年秋から2024年にかけて、楽天モバイルはプラチナバンドを手に入れネックだった繋がりにくさを克服できれば利用者をさらに増やせる前提条件が整います。

楽天グループの営業損失は縮小傾向

楽天モバイルの設備投資も一巡して、解約率・一人あたり売上も大幅に改善されて、楽天グループ全体の営業損失は2023年1月~6月1,399億円と前年同期の1,778億円から縮小しています。

携帯電話事業一本の会社では、利益が出てくるまで長い道のりになりますが、楽天の場合は、楽天市場(楽天トラベル含む)などのECで前年比36.6%増の956億円の黒字、楽天カード楽天証券といったフィンテック事業も987億円の黒字とあれだけサービスの改悪ラッシュの中でも日銭を稼いでいます。

しかも秘密兵器楽天シンフォニーの携帯電話ネットワーク仮想化技術の受注残がすでに4,500億円に達しており、楽天グループ全体の黒字化は間近に迫っているといえます。

そうなれば、資金が不足しサービスを改悪せざるを得なかった各事業も反転攻勢でき、グループ全体の衝力を増してくるはずです。

すでに3大キャリアが抱えるサービスと比較すると3大キャリアのEC部門・フィンテック部門のほうが改悪が酷く、相対的に楽天グループの優位性が際立ってきている有様です。

すでにキャッシュレス決済では楽天ペイが独走状態

例えば2018年あたりから話題になったキャッシュレス決済(QRコード決済)では、各社の改悪が大きすぎる反面、改善が相次いでいる楽天ペイ楽天ペイ請求書払いが独走状態になっています。

あえて課題を挙げるなら、PayPayが圧倒的に加盟店が多いため選好されやすいため、これをどうやって克服するかですが着実にキャッシュレス化は進んでおり特定のコード決済しかできない状況は克服されつつあります。

しかも楽天ペイの場合は、楽天Edyと楽天キャッシュという電子マネー間の相互交換が可能になったことで残高をその時に必要とされる決済手段にすぐに移行できる便利さで比較にならない状況になっています。

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楽天市場はYahoo!ショッピングの敵失でライバルはAmazonのみ

楽天市場に関しても一時は、Yahoo!ショッピングのほうが優勢だった時期もありましたが、次々Yahoo!ショッピングが改悪を打ち出したことで、すっかり状況は変わっています。

とくに5のつく日に+4%ポイントアップだった特典をPayPayポイントではなく「ヤフーショッピング商品券」にしてしまったことは決定的で、dショッピング・au PAY マーケットも楽天市場に及ばぬこと甚だしい状態です。

あえていえば、Amazonは脅威ですが同じように楽天・Amazonのアフィリエイトをしている実感としては、昨年は確かにAmazonのほうが優勢でしたが、今年の8月辺りから完全に逆転しており圧倒的に楽天の売上のほうが大きくなり、その差はどんどん開いています。

楽天モバイルもドコモの敵失でシェア拡大のチャンス

楽天モバイルは、建物内で繋がりにくいというデメリットがありますが、これは今年の秋にも実施されるプラチナバンドの割当が実行されれば解消される問題です。

そうなると通信状況が改善されて競争力が高まるわけですが、現実的な通信速度は以下の通りで、ソフトバンク回線のY!mobileLINEMOが現状圧倒的に早いですが楽天モバイルは、ahamo(アハモ)UQモバイルといい勝負といった具合になっています。

3GB音声通話月額料金20GB音声通話月額料金12:30の平均通信速度
楽天モバイル1,078円2,178円211.88Mbps
ahamo(アハモ)2,970円2,970円55.03Mbps
irumo2,167円3,377円50.06Mbps
UQモバイル1,628円2,728円39.32Mbps
POVO2.0990円2,700円40.25Mbps
Y!mobile(ワイモバイル)2,365円4,015円137.08Mbps
LINEMO990円2,728円48.53Mbps
イオンモバイル1,078円1,958円1.22Mbps
mineo1,518円(5GB)2,178円7.66Mbps
IIJmio990円(4GB)2,000円1.14Mbps
nuroモバイル792円2,090円8.19Mbps
日本通信1,390円2,178円1.03Mbps

※2024年3月平均通信速度(格安SIMの速度比較サイトより引用)

このライバル間で比較するとドコモが都市部で繋がらない問題がかなり厳しく、いわゆるパケ詰まりをahamo(アハモ)は抱えています。

改善がどれくらい進むのかはさっぱりわかりませんが、夏までに解消という割には利用者のスマホを借りて使ってみるとさっぱり改善が見られないので、ドコモ系はもうありえない選択になっていると思います。

したがってこの敵失によって楽天モバイルの契約は状況は、底打ちから上昇トレンドに舵を切ってくる可能性が高いでしょう。

4755:楽天グループ テクニカル分析

楽天グループ

2023年度における4755楽天グループの買いサインは3回と考えています。

  1. 下降ウェッジ上放れ(1)
  2. 長期下落トレンドライン再ブレイク(3)
  3. 直近高値に引いた水平線をブレイク(5)

ここ最近のチャートですので、今後も環境の変化によっては好機もあると思いますが、移動平均線の束(GMMA)が上方向に拡散している状況ですので、押し目買いが基本戦略になってきます。

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①下降ウェッジ上放れ(1)

下落ウェッジ

下降ウェッジとは、上値抵抗線(レジスタンスライン)と下値支持線(サポートライン)が縮小しながら下落している相場が、レジスタンスラインのブレイクアウトで反発上昇するフォーメーションパターンです。

4755楽天グループは、資金調達のため増資をおこない大幅に株価が下落したあと、下落トレンドがなかなか止まらなかったのですが、レジスタンスラインとサポートラインが徐々に縮小し、下降ウェッジを形成していることに気が付きました。

上放れれば急速に上昇していきますが、さらに確実なのが画像のように長期下落トレンドラインから脱し、底値圏でトライアングルフォーメーションを形成しそれをブレイクすることです。

下降ウェッジを上放れたタイミングは(1)の推進波となりかなりの上昇となっています。

②長期下落トレンドラインブレイク(3)

4755楽天グループは、2021年3月から長期的な下落に見舞われています。

4755楽天グループ週足チャート
4755楽天グループ週足チャート

主因は、楽天モバイルの巨額の赤字で本業が圧迫される懸念であり、事実様々なサービスでポイント還元の縮小が相次ぎ、強烈な下落トレンドになりました。

一時この下落トレンドラインをブレイクしたものの、自らの増資でさらなる下落に見舞われてしまっています。

このときの下落が下降ウェッジで、これを上放れたものの下落トレンドラインでは再ブレイクしたものの、再度押されて割れた後に再加速して再々ブレイクしています。

このブレイクしたタイミングが(3)の推進波です。

③直近高値に引いた水平線をブレイク(5)

4755楽天グループ
4755楽天グループ日足チャート

「直近高値に引いた水平線」で極めて重要なのが、画像にフラッグで印をしている738円付近です。

ここは長期間頭を押さえつけられてきた水準であり、これを抜けることで新たな局面が打開されるはずです。

まずは目の前にある634円の直近高値に引いた水平線をブレイクすることと、エントリーはその水平線に一旦戻ってくるリターンムーブがベストでしょう。

【まとめ】楽天の株価は今後どうなる?投資する理由と事業の可能性

4755楽天グループは、『携帯電話ネットワークの完全仮想化』という世界で何者も成し遂げたことがないことを楽天モバイルは世界に先駆けて成功させました。

これが今後は、「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」というパッケージングされた強力な武器になります。

巨額の設備投資が必要になる携帯電話事業を相手にこのパッケージングされたネットワークインフラが売れれば膨大な利益が期待でき、赤字の元凶である楽天モバイルが必ずしも黒字化する必要はなくなります。

といってもタイミングも非常に大事ですので、下落ウェッジを上放れた2023年6月29日以降買い判断として、4755楽天グループへの投資は今後もう1回買いタイミングがあると考えています。

4755楽天グループ日足

楽天モバイルにしてもプラチナバンドがないという著しく不利な状況だったのが問題で、それも今年の秋から来年初頭にかけてプラチナバンドを手に入れて屋内・地下の通信もスムーズになってからが本当の勝負になります。

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