原油価格は、まだ拡大トライアングル内の取引が続いている/WTI・BLENT原油トレードブログ

こんにちは、cohamizu(@cohamizu1)です。

先週の見通しで、期待インフレ率が下落を示唆しているため、日足62EMA(=$79付近)・200SMA(=$80付近)のレジスタンスが重く、反落するシナリオを重視して説明しました。

WTI原油日足/TradingView

結果は、目論見は外れていずれも上抜けてショート戦略は失敗に終わっています。

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しかし、6月21日に重要なトレンドライン上で一旦高値を更新しながら、反落し前日の安値を下回って引ける「ベアリッシュリバーサル」を形成しています。

このプライスアクションは、これまでの上昇トレンドが転換したことが示唆されています。

これが特に重要ではないところで発生すれば、原油はまだ強気と断定していたのですが、トレンドラインを引っ張ってみると、以前解説した拡大型トライアングルの上値抵抗線の延長線上と一致していました。

つまり拡大型トライアングルは、まだ健在で影響力を保持しており、実は最終E波を達成して、これから原油価格を下落トレンドに陥れる可能性が浮上していると考えられるのです。

この記事では、このように原油取引の週単位の見通しについてTrading Viewで分析し、実際のトレードは国内店頭CFD取引高9年連続No,1のGMOクリック証券で提示されているレートを想定して説明しています。

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原油価格(WTI・BRENT)の6月第4週の見通し

WTI原油週足/TradingView

WTI原油を週足で確認するとFEDの利上げの影響を受けて一貫して下落し続けてきたことがわかります。

 

現在では、その下落トレンドも膠着し底値圏でシンメトリカルトライアングルを形成してています。

この三角持ち合いは、ブレイクした方向にトレンドを形成していくため大勢が上昇方向なのか下降方向なのかは現段階では断定できません。

しかしいずれにしても画像のD波達成からE波へのアプローチはまだ未達成なので、どこかで反落してE波を達成する余地を残していると考えられます。

またファンダメンタル的にも原油価格がFEDの利上げによる長期低迷から抜け出して力強く上昇するには、やはり低迷の原因となっている高金利から金利の引き下げが必要なはずです。

市場では利下げする確率が最も高いのが9月と予測されているため、6月の段階でこの三角持ち合いを打開することは時期尚早で、やはり一度E波を達成して十分に踏み込んでから勢いよく上昇するほうが正直しっくり来ると考えています。

原油価格(WTI・BRENT)日足分析→拡大型トライアングル上値抵抗線でベアリッシュリバーサル

WTI原油日足/TradingView

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直近のWTI原油は、拡大型トライアングルの上値抵抗線で弱気への転換を示唆する「ベアリッシュリバーサル」を形成しています。

来週からこの「ベアリッシュリバーサル」で形成した陰線の安値を下回れば、売りが加速し77.58付近の安値まで調整していく蓋然性が高くなる一方で、拡大型トライアングルは、最終波形成から全戻しするケースだけではなく50%程度の反落でとどまって上昇していくパターンの2つが考えられる点に注意が必要になってきます。

したがって原油価格の上昇トレンドが転換し下落する過程でも、50%程度に差し掛かれば”反発して上昇トレンドに復帰”するパターンと”下落が継続して週足三角持ち合いの下値支持線まで下落”するパターンと2つの方向性が考えられます。

どちらかの目線を重視するかというと、今週は80.60付近に位置している上値抵抗帯を一旦ブレイクしたものの、最後の最後で覆されて反落した事実に鑑みて、これまでのような上昇トレンドが転換して大きな下落トレンドに再び回帰する可能性のほうが高いのではないかと考えています。

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原油価格(WTI・BRENT)4時間足→77.55まで下落リスクが浮上

WTI原油4時間足/TradingView

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4時間足では、日足で説明済みのように拡大型トライアングル上値抵抗線で、「ベアリッシュリバーサル」を形成して下落しています。

週初はさらに下落していくと目論んでいますが、サポートは第一関門としては79.28から引いた水平線、第二関門が77.55から引いた水平線が候補として挙げられます。

いずれも一定規模の反発があると考えられますが、下落を開始したときの起点となる高値と最初の反発時の高値を結べば新たな下落トレンドラインが形成されます。

それを拠り所とすれば下落圧力を跳ね除けて上方向に新たなトレンドを作るか、それとも下落トレンドラインで叩かれて大きく下落するのか、という大きな2つの方向性を見定めるよい分岐点になるはずですので、はっきりするまでは大きな値幅を狙わずにサポートラインで利益確定しつつ、慎重にポジションを出し入れする方向性が確実でしょう。

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BRENT日足も拡大トライアングル上値抵抗線で反落

BRENT北海原油日足/TradingView

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BRENT(北海原油)日足は、WTI原油に比べてチャートがキレイでトレンドライン・水平線が的確にレジスタンス・サポートとして機能しています。

こちらも拡大型トライアングルが影響力を残しており、上値抵抗線で下落トレンドへの転換を示唆する「ベアリッシュリバーサル」を形成しています。

こちらも50%以内の調整に終わって反発すればヘッド&ショルダーズボトムとなり、上昇トレンドへの信頼性が揺るぎないものになります。

一方でそれ以上の下落となってしまうと、WTIと同じく週足ベースの三角持ち合い下値支持線である74ドル台付近までの大きな下落が予測されます。

WTI原油・BRENT北海原油の分析精度を高める指標

ここまで原油価格(WTI・BRENT)のトレードについて日足→4時間足で説明してきましたが、基本的にこの記事のトレード手法は4時間足でトレンドラインを引いて、1時間足を主に確認しつつ以下の3つのポイントを重視したトレード手法を採用しています。

その手法とは、以下の3つです。

  1. 天井圏・底値圏でスパイクorリバーサルをともなうフォールスブレイクアウト
  2. 天井打ち・底打ちの後、1時間足62EMAで押し目・戻り目
  3. トレンド継続のブルフラッグ・ウェッジ(下落トレンドではベアフラッグ・ウェッジ)

主な手法としては、これらを使いまわしてより熟練度を高めようとしており、それ以外の値動きに関しては「得意ではない」という判断でスルーすることで勝率を高めることを狙っています。

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先週の2024年6月第3週の状況は、拡大型トライアングル上値抵抗線で「ベアリッシュリバーサル」を形成して上昇トレンドの転換を示唆しているため、「①天井圏・底値圏でスパイクorリバーサルをともなうフォールスブレイクアウト」が発生しつつあります。

しつつあるというのは、$79~$80付近の一旦上抜いたレジスタンスより上をまだ維持しているからですが、これを維持できずに割り込んでしまうと今回の$79~$80付近のレジスタンスのブレイクは「偽り」であったということになります。

このように一見無限に存在しそうなチャートパーターンの中で得意なものだけを集中的に研究して、そのパターンではエキスパートになることが重要です。

反対にすべての場面で利益を獲得しようとすると無駄な損失を招く結果になるので、逆に遠回りになると思います。

以上①②③のパターンに加えてこれから説明する方向性を補強する指標も確認することで、今後の原油トレードに関して精度を高めることができるでしょう。

代表的な指標としてチェックしてほしいのが以下の3つです。

  1. 期待インフレ率
  2. IGクライアントセンチメント
  3. 米国エネルギー情報局(EIA)/短期エネルギー見通し(STEO)

①期待インフレ率

原油価格は、あらゆる物価に影響を及ぼすため経済活動にとって非常に重要なものです。

この原油価格の先行指標ともいえるのが、市場が推測するインフレ率を示す「期待インフレ率/BEI(Break Even Inflation rate)」です。

期待インフレ率は、物価連動国債の売買参加者が予測する今後最大10年間(物価連動国債の残存期間次第で10年未満になる場合がある)における年平均物価上昇率を示しており、将来の実際の物価や景気に影響を与え、それらの先行きを予測するうえで重要な指標となります。

実際にこの期待インフレ率は、原油価格に同調または先行する特徴があるため、毎日確認しておく必要があります。

今週末までの期待インフレ率は、あれだけ原油価格が反発したにもかかわらずかなり下落したままになっており、原油価格もこれに追随してくるリスクがあると思います。

引用:期待インフレ率

これだけ見ると期待インフレ率を見て追随したトレードをすれば良さそうに感じますが、一致する確率は68%~78%の間で、変化が一致していたり先行したりと2割~3割程度は外れることがあります。

そのためこの指標が下落傾向にあれば「原油は基本売りから入る」、上昇傾向にあれば「基本買いから入る」ことで無用なリスクを低下させることができる指標だと考えればちょうどよいと思います。

現状は、チャートと期待インフレ率が相反する状態ですので判断は「ニュートラル」として、OPECプラスの決定を市場がどのように判断するのか見極める必要があります。

②IGクライアントセンチメント

「IGクライアントセンチメント」は、グルーバルに展開している「IGグループ」の顧客がどのようなポジションになっているか定期的に提供してくれています。

個人投資家は大抵トレンドとは逆のポジションをとる傾向にあるため、その習性を利用してロングが増加すれば弱気、ショートが増加すれば強気という売買の目安となります。

週末の個人ポジションを確認してみましたが、59.35%のネットロングと先週に比べてかなり大きくネットショートに振れています。

先週に比べてロングポジションは15.85%減少、ショートポジションは18.46%上昇していますが、前回の急速な変化に比べるとそれほど大きく動いていません。

ロングポジションも減ったということは、以前から捕まったポジションを損失に耐えながら保有して、先週の上昇でようやく売り逃れることができたことを示しています。

その水準は$79~$80付近のレジスタンスより上に数多く存在していたと推定できますが、これだけ上昇してもまだネットロングが6割も存在しています。

引用:「IGクライアントセンチメント」

なぜロングが多いと下落リスクが高まるかというと、大勢の個人投資家は訓練を受けておらずトレンドと逆のポジションをとる習性があるからです。

つまり訓練されていない個人投資家は利益は一刻も早く利益確定して、損失は先延ばしにする悪癖があり、強い上昇トレンドが発生するとロングが減ってショートが急増し、逆に強い下降トレンドが発生するとロングが急増してショートが減る傾向にあります。

したがってロングの勢力が大半であることの意味は、下落方向に相場の方向性が志向されており、個人投資家は損失を抱えたロングポジションを持ち越しているため彼らがその損失に耐えられず損切り(投げ売り)を行うことでさらに下落する可能性が高く、上昇しても次々微益で利益確定するため上値が重い展開が想定されるのです。

このように、「IGクライアントセンチメント」で確認できる未決済ポジション(おそらく含み損を抱えたポジション)を観察することで、常に自身のポジションが少数派に属していてトレンドに乗れているか確認しておくことができるでしょう。

このように「IGクライアントセンチメント」は、実際のトレードに役立つ便利なツールです。

③米国エネルギー情報局(EIA)/短期エネルギー見通し(STEO)

米国エネルギー情報局(EIA)が毎月発表している短期エネルギー見通し(STEO)は、毎月発表されており原油価格を左右する需給状況をつぶさに知ることができます。

引用:EIA
引用:EIA
株式投資する際に金利を見て、個別株の業績をチェックするのと同じくらいEIAのデータは重要です。
原油を売買する以上は、この掲載データに関心がない人はいないと思います。

原油需給予測の指針となるアメリカエネルギー情報局(EIA)の6月月報はすでに発表されており、2024年の需給に関しては以下のような予測となっています。

  • 2024年の需要予測は日量1億298万バレル(+日量14万バレル)
  • 2024年の供給予測は日量1億257万バレル(▼日量19万バレル)
  • 2024年は日量41万バレルの供給不足

また直近の第三四半期の推定は、供給過剰から60万バレルの供給不足に転じており、時間の経過とともに原油価格の下落余地は少なくなってくるはずです。

したがって下落トレンドが開始されても、長々と下落は続かずいずれは本格的な上昇トレンドがはじまる可能性のほうが高いでしょう。

分析チャートツールはダントツでTrading Viewが便利

WTI原油(または北海ブレント)のチャート分析では、Trading Viewを読者の方におすすめしています。

WTI原油4時間足

一般的なチャートシステムでは、この記事で掲載しているチャートのようなGMMA(複合型移動平均線)は標準装備されていないため、トレンドがどちらの方向に傾いているか直感ではわかりにくい問題があります。

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Trading Viewは、無料で閲覧できる高機能ツールですが、無料プランで表示できるインジケーターは2つまで、チャートを同時表示できないなど、十分な機能を使うには月額$12.95のエッセンシャル以上のプランにしなければ、機能に制限があるので不便に感じる場合があります。

そこで無料でありながらテクニカル分析を無限に追加できる楽天MT4CFDを使うことでその問題を解決することができます。

MT4で原油のチャートをチェックするには、USOILのシンボルを追加することで可能になります。

Trading Viewに対する利点は、楽天MT4CFD口座を開設していれば無料で機能を使えることとローソク足の動きが非常に速く(MT4ではトレンドに乗ったポジションを維持しやすくなるため平均足を使っています)判断を下しやすいことです。

Trading Viewはリアルタイムの反応速度が少し遅いです

そのため短期売買になればなるほど、楽天MT4CFDを利用する優位性が活きてくるでしょう。

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チャートに関しては、Trading Viewまたは楽天MT4CFDで十分な分析ができます。

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【結論】WTI原油/BRENT北海原油2024年6月第4週見通し

原油価格(WTI・BRENT)の2024年6月第4週の見通しは、拡大型トライアングル上値抵抗線で下落トレンドへの転換を示唆する「ベアリッシュリバーサル」が形成されたことで、一転して下落リスクが高まってきた状態です。

その下落トレンドが発生したとして、その距離は拡大型トライアングル内を全戻しするかもしれませんし、50%以内の調整で完了するかもしれず、まだ断定できない状況です。

少なくとも週足では、三角持ち合いが形成されています。

通常この二等辺三角形を横倒しにしたような形状(シンメトリカルトライアングル)は、内部でA・B・C・D・E波までこなして最終E波までしっかり踏み込んでから跳躍しなければ大きく上昇していきません。

WTI原油週足

そのため拡大型トライアングル上値抵抗線から全戻しで70ドルを一時割り込む水準まで下落するシナリオをメインシナリオとしていこうと考えています。

WTI原油日足

一方で50%以内の調整で切り返して上昇していく場合は、中東情勢が再び緊迫化するかFEDが利下げを早めに開始した場合ですので、現状ではすぐには発生しなさそうです。

※時と場合によっては発生する場合もあります。

よって原油価格(WTI・BRENT)の2024年6月第4週の見通しをまとめると以下の3つに集約されます。

  1. 週足ではシンメトリカルトライアングルを形成しており、最終E波(下落方向)が未達成であること
  2. 拡大型トライアングル上値抵抗線で「ベアリッシュリバーサル」を形成したこと
  3. OPECプラス後の急反発でも期待インフレ率が低迷したままであること

したがって次は大きく下落する前に1時間足62EMAまでプルバックする動作を捕捉してショートすることと、下落が50%以内の調整で収まるのか?それとも拡大型トライアングルを全戻ししてしまうのか?という2つの選択肢を見極めることが課題になりそうです。

今回の分析に活用しているTrading Viewは、分析ツールとして広く一般的に使われていますが、十分な機能を使うには月額$12.95のエッセンシャル以上のプランにしなければ、機能に制限があるので逆に使いにくい部分もあります。

そのため実際には、十分な機能でかつ無料で分析を行うことができる楽天MT4CFDのチャートでトレードのタイミングを図ったほうが、コストも掛からず取り組みやすいと思います。

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