こんにちは、cohamizu(@cohamizu1)です。
チャートを見ていくとこれは「底打ちではないか?」と考えられるローソク足が出現することがあります。
FXで著名な陳満咲杜氏は、このローソク足のことをプライスアクションの教科書では『スパイクロー(日本名:たくり)』と呼んでいます。
多くの人が認識する形状なので、「すわ上昇か!」と思ってしまうのですが、実際には出現する場所やそれまでの状況を併せて底打ちと判断しないと、間違った判断をしてしまいます。
反発が期待される『スパイクロー』の条件は、どのようなものかというと以下の3つを満たしたものになります。
- それまで下落トレンド(または下降ウェッジ)が形成され重要な安値水準でスパイクローが出現すること
- 下ヒゲが異様に長く・実体が短いローソク足が形成されること
- 出現後下落トレンドライン(または下降ウェッジ)を上方ブレイクすること
この条件を満たしたローソク足では、Silver(銀)を例にあげると過去5年間(2020年~2024年)でも10回しか出現していませんが、出現してから下降ウェッジをブレイク後3営業日以内のリターンは平均+3.89%でマイナスになった例がありません。
また忍耐強く1ヶ月前後ポジションをホールドすると、その間に達成した高値までの平均値幅は+18.6%にも達しているため、『スパイクロー』はロングの絶好機であることは間違いありません。
この記事では、相場の底打ちを示唆する『スパイクロー』について解説しますが、チャートを確認するときTrading View・楽天MT4CFDのいずれかをおすすめしています。
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底打ちを示唆するローソク足「スパイクロー」とは?
『スパイクロー』とは、下ヒゲが非常に長く、実体部分が短いローソク足です。
その長い下ヒゲは、取引時間中に一旦は下押したものの押し戻されて取引を終えた結果を示しています。
実際のチャートでは、以下の画像のように底値圏で出現しており、相場の底打ちを示す非常に大事なプライスアクションになっていることがわかりますね。
ところがよく見ていくと似たようなローソク足はところどころに見られ、必ずしもそこを起点に上昇しているわけではないケースも存在します。
相場の底打ちを示す場合とそうでない場合とでは何が違うのでしょうか。
ここで相場の底打ちを示唆する『スパイクロー』の定義を振り返ってみましょう。
- それまで下落トレンド(または下降ウェッジ)が形成され重要な安値水準でスパイクローが出現すること
- 下ヒゲが異様に長く・実体が短いローソク足が形成されること
- 出現後下落トレンドライン(または下降ウェッジ)を上方ブレイクすること
これを順番に説明します。
①下落トレンド(または下降ウェッジ)が形成され重要な安値水準でスパイクローが出現すること
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②下ヒゲが異様に長く・実体が短いローソク足が形成されること
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③出現後下落トレンドライン(または下降ウェッジ)を上方ブレイクすること
先ほど例であげているWTI原油を4時間足で確認するとこのときは下降ウェッジが形成されており、『スパイクロー』が出現したその日に下降ウェッジ上値抵抗線をブレイクしています。
ただ一気呵成に上昇しているわけではなく、一時的な引き戻しを行ってから上昇を再開させています。
この理由は、伝統的な底打ちパターン”ヘッド&ショルダーズボトム”の右肩部分を形成する動きだと考えると自然な流れです。
その後、3営業日にわたって上昇を続けますが、これまでの実例を確認する限り概ね『スパイクロー』の出現からそのまま上昇する場合は3営業日、このWTI原油のように一旦プルバックで押した後、上昇を再開した場合はやはり3営業日にわたって上昇していくケースが非常に多いです。
このように『スパイクロー』は、そのローソク足だけでは成立せず、明確に下落トレンド・下降ウェッジをブレイクすることで売り方の買い戻しを誘ってより価格を押し上げることができるのです。
スパイクローの実際の効力
前述の事例で以下の条件を伴う『スパイクロー』が相場の底打ちを判定するのに効果的であることがわかりました。
- それまで下落トレンド(または下降ウェッジ)が形成され重要な安値水準でスパイクローが出現すること
- 下ヒゲが異様に長く・実体が短いローソク足が形成されること
- 出現後下落トレンドライン(または下降ウェッジ)を上方ブレイクすること
では同様の条件下の場合、どれくらい効果があったのかを検証したいと思います。
S&P500日足においてスパイクローが出現したときの実績
投資において最もポピュラーなのが、米国株式市場の代表的な指標「S&P500」です。
このS&P500日足ベースで過去5年間、下降ウェッジを伴う『スパイクロー』が出現したとき、その後どのような値動きになったのかを検証してみました。
条件は以下の2項目で、結論3営業日以内で決済した場合、6件中5件で利益がでています。
- エントリーは、『スパイクロー』が出現して下降ウェッジを4時間足でブレイクしたタイミングでロング
- リターンは、3営業日後の終値で決済した場合の差益
日付 | エントリー | イグジット | リターン |
2020.10.30 | 3,296.1 | 3,449.6 | +4.66% |
2021.3.25 | 3,918 | 3,959.4 | +0.93% |
2021.10.6 | 4,366.4 | 4,357.7 | ▼0.2% |
2022.2.24 | 4,290.2 | 4,313.9 | +0.55% |
2022.7.14 | 3,793.9 | 3,942.6 | +3.92% |
2022.10.13 | 3,571.1 | 3,780.3 | +4.98% |
また恣意的ですが、『スパイクロー』が出現して後述するCCI(コモディティ・チャネル・インデックス)で利益確定の指示が出るまでポジションを保持した場合、どれくらい利益が伸びたのかも記述しておきます。
日付 | エントリー | イグジット | リターン |
2020.10.30 | 3,296.1 | 3,564.7 | +8.15% |
2021.3.25 | 3,918 | 4,165 | +6.3% |
2021.10.6 | 4,366.4 | 4,651.1 | +6.52% |
2022.2.24 | 4,290.2 | 4,549.7 | +6.05% |
2022.7.14 | 3,793.9 | 4,129.3 | +8.84% |
2022.10.13 | 3,571.1 | 3,780.3 | +5.86% |
株価指数で数日のうちに5%を超える利益を出せるケースはそんなにありませんので、やはり『スパイクロー』は重要なプライスアクションになると思います。
Silver(銀)日足においてスパイクローが出現したときの実績
ここ5年間のSilver(銀)日足で下降ウェッジを伴う『スパイクロー』で実際に反発したのかを検証してみました。
条件は以下の2項目で、結論3営業日以内で決済した場合、10件すべて利益がでています。
- エントリーは、『スパイクロー』が出現して下降ウェッジを4時間足でブレイクしたタイミングでロング
- リターンは、3営業日後の終値で決済した場合の差益
日付 | エントリー | イグジット | リターン |
2020.9.24 | 22.388 | 24.172 | +7.97% |
2020.10.28 | 23.292 | 24.237 | +4.06% |
2020.11.30 | 22.885 | 24.062 | +5.14% |
2021.1.18 | 24.973 | 25.932 | +3.84% |
2021.11.3 | 23.791 | 24.460 | +2.81% |
2021.12.15 | 22.092 | 22.264 | +0.78% |
2022.2.5 | 22.524 | 23.314 | +3.51% |
2023.11.13 | 22.312 | 23.743 | +6.41% |
2024.2.29 | 22.501 | 23.888 | +6.16% |
2024.5.3 | 26.728 | 27.337 | +2.28% |
また恣意的ですが、『スパイクロー』が出現して1ヶ月前後で示現した高値と比較すると概ね10%以上の利益を出せる可能性があることがわかります。
日付 | エントリー | 1ヶ月前後で記録した高値 | 高値までのリターン |
2020.9.24 | 22.388 | 25.563 | +14.18% |
2020.10.28 | 23.292 | 26.018 | +11.7% |
2020.11.30 | 22.885 | 27.927 | +22.03% |
2021.1.18 | 24.973 | 30.136 | +20.67% |
2021.11.3 | 24791 | 25.390 | +6.72% |
2021.12.15 | 22.092 | 24.702 | +11.81% |
2022.2.5 | 22.524 | 26.948 | +19.64% |
2023.11.13 | 22.312 | 25.905 | +16.1% |
2024.2.29 | 22.501 | 29.798 | +32.43% |
2024.5.3 | 26.728 | 27.337 | +21.66% |
スパイクローを補完するインジケーター
『スパイクロー』は、このように底打ちを示唆するプライスアクションですが、具体的にどこでエントリーし、どこで利益確定したら良いのか、また再エントリーするタイミングはどこかを指し示すツールは必要になってくるでしょう。
今回はその一例を挙げたいと思います。
チャートの補助ツールとして今回は、CCI(コモディティインデックス)、A/D(アキュムレーション ディストリビューション ライン)を表示しています。
具体的な使い方を順番に説明します。
①スパイクロー+CCI-100回復で買い、100突破→100割り込みorダイバージェンスで利益確定
CCI(コモディティ・チャネル・インデックス)とは、一定期間の平均価格からの現在の価格との乖離を示したインジケーターです。
CCIはトレンドフォローなら0ラインの上抜けでロングする方法が一般的ですが、『スパイクロー』が出現した場合、非常に鋭い反発が生じるケースが多いので初動の利益を見逃してしまいます。
そこでCCIが-100を下抜けて戻ってきて-100を回復してきたタイミングで買います。
通常このポイントは、売り方の利益確定のタイミングを知らせる位置であるため、売り方が一斉に買い戻して価格が急騰するタイミングを逃しにくいと思います。
ついで利益確定のタイミングですが、100ラインを突破して再び100ラインに戻ったタイミングが利益確定の時期です。
しかし再び100ラインを突破してきたらそれだけ押し目買いの圧力が大きいということなので、さらなる一段高になっています。
よって再度100ラインを回復してくれば、買いで対応して再び100ラインを割り込むときに、今回の高値は前回の高値よりも高いのに、CCIでは今回の山が前回より低くなっているダイバージェンスが発生しているなら利益確定です。
実際にダイバージェンス確認後、Silver(銀)はそれまでの上昇が嘘のように急落していますので、CCIと価格のダイバージェンスは要注意なのです。
②スパイクロー+A/Dラインブレイクでエントリー
A/D(アキュムレーション ディストリビューション ライン)とは、基礎となる需要と供給を測定する為に設計された出来高ベースのインジケーターです。
この数値は実はシンプルで、上昇しているときは買い集められており買い圧力が大きい、下降しているときは売られているので売り圧力が大きいと判断されます。
価格との先行性も高く、『スパイクロー』が出現したときにはA/Dはすでに反発しており、このときに買い集められたことがわかります。
またこのA/Dにトレンドラインを引くと、一旦売られてトレンドラインを割り込んだものの奪回してくれば、押し目買い圧力がまだまだ大きいこともわかります。
このA/Dを見て価格は調整気味なのに実際には段々上昇してきて買い集められていたり、前回の安値水準よりも高いのにA/Dは低下しているので売りが継続する可能性を察知するなど価格とのダイバージェンスを発見できればその後の展開を想定しやすくなります。
【まとめ】相場の底打ちを示唆するスパイクローとは?
市場で下落トレンド中に発見される下ヒゲが長く、実体部分が非常に短いローソク足『スパイクロー』は、確かに売り方の利益確定、または新規の買い方の参入を示すものです。
しかし実際に相場の底打ちが期待される『スパイクロー』の条件は、以下の3つを満たしたものになります。
- それまで下落トレンド(または下降ウェッジ)が形成され重要な安値水準でスパイクローが出現すること
- 下ヒゲが異様に長く・実体が短いローソク足が形成されること
- 出現後下落トレンドライン(または下降ウェッジ)を上方ブレイクすること
そしてCCIで確認すると平均価格との乖離が徐々に狭まり反発機運が高まっているのか、A/Dで確認すると前回の安値よりも低いのに実際は買い集められているなど補助的なインジケーターも併用すると良いでしょう。
この記事では、相場の底打ちを示唆する『スパイクロー』について、Trading View・楽天MT4CFDの2つのチャートシステムを併用して解説しました。
Trading Viewの場合は、有料プランでないと複数のインジケーターが使えないなどのデメリットがありますが、楽天MT4CFDだと実例のようにCCI+A/Dなど分析項目を無制限に追加することができます。
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