OPECプラスは実質増産!下落トレンド再開か/WTI・BLENT 原油トレードブログ

こんにちは、cohamizu(@cohamizu1)です。

原油価格を左右する勢力として最大の価格カルテルがOPECであることは周知の事実ですが、これにロシア・メキシコなど従来はOPECに属さなかった産油国を加えてたOPEC+が新たな枠組みを2016年に結成して原油価格への影響力の維持を図っています。

このOPEC+閣僚級会合は、半年に1回のペースで開催され、今回は6月2日13時(ウィーン時間/日本時間20時)にからスタートし非常に早い合意にいたっています。

主な内容は以下のとおりです。

  • 自主的な減産を実施した8カ国は、前回合意した日量220万バレルの減産を2024年9月末まで延長する
  • 2025年1月1日から2025年12月31日まで、OPECおよび非OPEC参加国の全体的な原油生産レベルを順次拡大する
  • 2024年12月1日に第38回OPEC・非OPEC閣僚会合を開催する

引用:第37回OPECおよび非OPEC閣僚会議

    X(旧Twitter)で各トレーダーの思惑を確認すると、「減産延長で上昇開始!」と意気込んでいる人たちが多かったので、実際に2024年末までの減産延長なら”ショートだな”とシンプルに解釈しました。

    かつ実際には2025年から削減縮小=増産していくため、実質増産ですのでBearrish(弱気)という判断が妥当だと思います。

    先週の見立てでは、OPECプラス前ということもあって一方的な値動きはないと考えていましたが、テクニカル面でも200SMA付近の80ドル突破は難しかったらしく反落して引けています。

    したがって今週になってようやく、レンジをブレイクして74ドル割れへのトライをするだろうと思います。

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    この記事では、このように原油取引の週単位の見通しについてTrading Viewで分析し、CFDで原油のトレードに取り組む方たちの参考になればと考えています。

    WTI原油もしくは北海原油のトレードは、国内店頭CFD取引高9年連続No,1のGMOクリック証券で提示されているレートを想定して説明しています。
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    原油価格(WTI・BRENT)の見通し

    WTI原油日足

    WTI原油日足では、天井圏で形成しているヘッド&ショルダーズのターゲットが73.74に達することから、下落トレンドは継続していると判断しています。

    加えて80ドル台の反発も200SMA(青線)で叩かれて反落していることから、200SMA(青線)を起点とする下落トレンドに陥っている可能性が高いと思います。

    OPECプラスの結果から考える今後の原油価格

    中東の産油国を中心に結成されている原油価格カルテル「OPEC+」は、原油価格への影響力の維持を狙って半年に1回、閣僚級会合を開催し半年間の産油量の割当を決定しています。

    今回は6月2日 20時(ウィーン13時)に開催され、約1時間程度と非常に早く合意に至っています。

    主な合意内容は以下のとおりです。

    • 自主的な減産を実施した8カ国は、前回合意した日量220万バレルの減産を2024年9月末まで延長する
    • 2025年1月1日から2025年12月31日まで、OPECおよび非OPEC参加国の全体的な原油生産レベルを順次拡大する
    • 2024年12月1日に第38回OPEC・非OPEC閣僚会合を開催する

    引用:第37回OPECおよび非OPEC閣僚会議

    OPEC加盟国2024年10月~2025年12月自主減産割当

    小菅氏も嘆いていますが、2024年10月から順次拡大となる産油割当がデータ提供ではなくて画像貼り付けという、かなり面倒な情報提供になっていますのでそのまま画像を貼ります。

    OPEC2024年10月~2025年12月割当

    OPECプラスで決定された内容は、協調減産は2025年にロールオーバーしてはいますが、2025年の減産規模は縮小(=生産水準は引き上げ)となっていることがわかりますね。

    ですので減産延長というよりは、実質増産になるので個人的な見解としては下落要因になると考えています。

    原油価格(WTI・BRENT)日足分析→ヘッド&ショルダーズが完成しWTI原油74ドル割れへ

    WTI原油日足

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    WTI原油を日足で確認すると、5/8以降の高値・安値をトレンドラインで結ぶと拡大型トライアングルが形成されています。
    このフォーメーションは非常に厄介で、当初高値・安値に引いた水平線をブレイクしたと思ったら何度も戻ってくるため、拡大型トライアングルと気づくところで損切りを何度も繰り返す場合があります。
    この上下の高値・安値を結ぶと拡大型トライアングルを形成しており、A・B・C・D・Eカウントは最終E波をすでにカウントしたと判断できると思います。
    したがってOPECプラス後に拡大型トライアングルを下方にブレイクするのを待つばかりとなります。
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    原油価格(WTI・BRENT)4時間足→下落トレンドチャネル継続か?ブレイクして反発か?

    WTI原油4時間足

    基本的にはTrading Viewのチャートで4時間足を表示し高値・安値にトレンドラインを引いて、できるだけ精密なポイントでエントリーできるようにしておきます(日足でトレンドラインを引くと若干ずれる)。

    これで確認できる拡大型トライアングルは通常価格幅が収束してくるトライアングルと異なって、高値・安値が拡大しつつA・B・C・D・E波をカウントしていき、最終的にE波をつけたところで次のトレンドを開始します。

    現状確認できるカウントはすでにE波をつけた状態ですので、下落トレンドが再開された可能性が高いと思います。

    欲を言えば値動きの中心線となりやすい800SMA(緑線)まで一旦もどって一息ついたところで戻り売りを再開して下落トレンドに乗せたいところです。

    BRENT日足もヘッド&ショルダーズ→下値目処78mid

    BRENT日足

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    BRENT(北海原油)日足は、わりとチャートがキレイでトレンドライン・水平線が的確にレジスタンス・サポートとして機能しています。

    こちらも拡大型トライアングルを形成してWTIと同じく200SMA(青線)で跳ね返されて下落トレンドを再開したと考えていますが、4月から続いてきた下落トレンドラインを一旦ブレイクしてそのトレンドラインを再テストする「リターンムーブ」になっているとも見えます。

    したがってこの「リターンムーブ」が正しいのか、それともフェイクなのか見極める必要があると思います。

    WTI原油・BRENT北海原油の分析精度を高める指標

    ここまで原油価格(WTI・BRENT)のトレードについて日足→4時間足で説明してきましたが、基本的にこの記事のトレード手法は4時間足でトレンドラインを引いて、1時間足を主に確認しつつ以下の3つのポイントでトレード方法を採用しています。

    1. 天井圏・底値圏でスパイクorリバーサルをともなうフォールスブレイクアウト
    2. 天井打ち・底打ちの後、1時間足62EMAで押し目・戻り目
    3. トレンド継続のブルフラッグ・ウェッジ(下落トレンドではベアフラッグ・ウェッジ)

    主な手法としては、これらを使いまわしてより熟練度を高めようとしており、それ以外の値動きに関しては「得意ではない」という判断でスルーすることで勝率を高めることを狙っています。

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    現状では、テクニカル分析の通りトレンド継続型のパターンが出現した状況です。

    ③のシチュエーションで当方の場合は「ブルフラッグ」・「ベアフラッグ」を多用しています。

    要するに複数あるチャートパーターンの中で得意なものだけを集中的に行って、その方法論ではエキスパートになることが重要ですべての場面で利益を獲得しようとすると無駄な損失を招く結果になります。

    以上のパターンに加えてこれから説明する方向性を補強する指標も確認することで、トレードの精度を高めることができるでしょう。

    代表的な指標としてチェックしてほしいのが以下の3つです。

    1. 期待インフレ率
    2. IGクライアントセンチメント
    3. 米国エネルギー情報局(EIA)/短期エネルギー見通し(STEO)

    ①期待インフレ率

    原油価格は、あらゆる物価に影響を及ぼすため経済活動にとって非常に重要なものです。

    この原油価格の先行指標ともいえるのが、市場が推測するインフレ率を示す「期待インフレ率/BEI(Break Even Inflation rate)」です。

    期待インフレ率は、物価連動国債の売買参加者が予測する今後最大10年間(物価連動国債の残存期間次第で10年未満になる場合がある)における年平均物価上昇率を示しており、将来の実際の物価や景気に影響を与え、それらの先行きを予測するうえで重要な指標となります。

    実際にこの期待インフレ率は、原油価格に同調または先行する特徴があるため、毎日確認しておく必要があります。

    今週末までの期待インフレ率は、これまでの下落傾向から上方向に舵を切ったような形状に変化しています。

    この期待インフレ率と日足チャートでは方向が相反する状態になっており、もし期待インフレ率の方向に原油が引っ張られることになれば、迂闊にショートで入ると失敗するリスクに晒されることになります。

    そのため最低でも月曜日の値動きで市場の評価を見届けてからでも遅くはないでしょう。

    引用:期待インフレ率

    これだけ見ると期待インフレ率を見て追随したトレードをすれば良さそうに感じますが、一致する確率は0.68~0.78の間であるため、2割~3割程度は外れることがあります。

    そのためこの指標が下落傾向にあれば「原油は基本売りから入る」、上昇傾向にあれば「基本買いから入る」ことで無用なリスクを低下させることができる指標だと考えればちょうどよいと思います。

    現状は、チャートと期待インフレ率が相反する状態ですので判断は「ニュートラル」として、OPECプラスの決定を市場がどのように判断するのか見極める必要があります。

    ②IGクライアントセンチメント

    IG証券とは、イギリスに拠点を置く、金融オンライン取引サービスのプロバイダー「IGグループ」が日本で展開するサービスで、株式・株価指数・外国為替証拠金取引・商品先物・CFD・バイナリーオプションなどを提供しています。

    この証券会社が提供している「IGクライアントセンチメント」は、グルーバルに展開している「IGグループ」の顧客がどのようなポジションになっているか示しています。

    個人投資家は大抵トレンドとは逆のポジションをとる傾向にあるため、その習性を利用してロングが増加すれば弱気、ショートが増加すれば強気という売買の目安を提供しています。

    早速、週末の個人ポジションを確認してみましたがネットロング84.58%と未決済ロングがかなり増加しています。

    先週と比べるとロングは+14.61%増加、ショートは▼27.09%と激減しています。

    引用:「IGクライアントセンチメント」

    なぜロングが多いと下落リスクが高まるかというと、大勢の個人投資家は訓練を受けておらずトレンドと逆のポジションをとる習性があるからです。

    つまり訓練されていない個人投資家は利益は一刻も早く利益確定して、損失は先延ばしにする悪癖があり、強い上昇トレンドが発生するとロングが減ってショートが急増し、逆に強い下降トレンドが発生するとロングが急増してショートが減る傾向にあります。

    したがってロングの勢力が大半であることの意味は、下落方向に相場の方向性が志向されており、個人投資家は損失を抱えたロングポジションを持ち越しているため彼らがその損失に耐えられず損切り(投げ売り)を行うことでさらに下落する可能性が高く、上昇しても次々微益で利益確定するため上値が重い展開が想定されるのです。

    このように、「IGクライアントセンチメント」で確認できる未決済ポジション(おそらく含み損を抱えたポジション)を観察することで、常に自身のポジションが少数派に属していてトレンドに乗れているか確認しておくことができるでしょう。

    ③米国エネルギー情報局(EIA)/短期エネルギー見通し(STEO)

    米国エネルギー情報局(EIA)が毎月発表している短期エネルギー見通し(STEO)は、毎月発表されており原油価格を左右する需給状況をつぶさに知ることができます。

    引用:EIA
    引用:EIA
    株式投資する際に金利を見て、個別株の業績をチェックするのと同じくらいEIAのデータは重要です。
    原油を売買する以上は、この掲載データに関心がない人はいないと思います。

    原油需給予測の指針となるIEAの5月月報はすでに発表されており、2024年の需給に関しては以下のような予測となっています。

    • 2024年の需要予測は日量1億310万バレル(▼14万)
    • 2024年の供給予測は日量1億270万バレル(▼20万)
    • 2024年は日量40万バレルの供給不足

    この需要と供給予想について、第四四半期ではOPECプラスが増産してくるので、需要が停滞すればさらに供給過剰となります。

    当のOPECの需要予測は大抵需要を過大に見積もっている傾向があり、IEAの予測でも第二四半期36万バレルの不足に対して第三四半期は余剰が予想されており、それを早期に折り込みだしているのであれば弱気に推移しやすいでしょう。

    現実コマツ・キャタピラーなどの建機大手の決算でも2024年度の見通しに悲観的な内容が並び、アメリカの経済指標は相次いで低調なものに変化しています。

    景気は弱体化し需要が見込めない状況を原油価格に織り込んできている可能性があります。

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    WTI原油4時間足

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    【結論】WTI原油/BRENT北海原油2024年6月第1週見通し

    原油価格(WTI・BRENT)の2024年6月第1週の見通しは、ファンダメンタルズでもテクニカルでも売り優勢と見ています。

    ただし月曜日は、OPECプラスの出口戦略が見えたことを市場がどう判定するか確認してからエントリーするほうが良いと思います。

    WTI原油日足

    テクニカル分析では、上記の日足チャートから以下の2点から売りから入りたいと考えています。

    1. 天井圏ではヘッド&ショルダーズのターゲットが73.74でありながら、まだ未達成なので下落余地が大いに残っていること。
    2. 直近のレンジが拡大型トライアングルになって最終E波を形成しており下落トレンドが再開されている可能性が高いこと。

    今回の分析につかったTrading Viewは、分析ツールとして広く一般的に使われていますが、十分な機能を使うには月額$12.95のエッセンシャル以上のプランにしなければ、機能に制限があるので逆に使いにくい部分もあります。

    そのため実際には、十分な機能でかつ無料で分析を行うことができる楽天MT4CFDのチャートでトレードのタイミングを図ったほうが、コストも掛からず取り組みやすいと思います。

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