プライスアクション「流動性の吸収ボトムパターン」

プライスアクション「流動性の吸収ボトムパターン」

相場が急落すると、多くの市場参加者は「さらに下落する」と考えます。

ところが、さらなる下落を見込んだ追撃売りや、買い手の損切による大量の売り注文が発生したにもかかわらず、価格が下方向へ進まず長い下ひげが出現して反発することがあります。

その後の二番底が最初の安値を割らず、直近の戻り高値を上抜くと価格は一転して上昇へ向かうパターンが出現する可能性が高まります。

この値動きを、ここでは「流動性の吸収ボトムパターン」と呼びます。

プライスアクション「流動性の吸収ボトムパターン」

このパターンの本質は、単純な二番底ではありません。

最初の急落でロングの損切り注文と新規ショートを市場へ誘い込み、その売り注文を大口の買い手が吸収します。さらに二番底で残っていた売りを処理し、安値を切り上げることで、売り手から買い手への主導権移行が確認されます。

本記事では、流動性の吸収ボトムパターンが完成するまでの過程を5段階に分けて説明します。

このプライスアクションは、オーダーブロックと組み合わせることでより精度を高めることができますので、Trading Viewで設定をして取り組みましょう。

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目次

流動性の吸収ボトムパターンとは?買い手が優位になるまでの5工程

流動性の吸収ボトムパターンは、次の順序で形成されます。

  1. 下落トレンドが継続する
  2. 急落によって下側の流動性を掃除する
  3. 急反発後に戻りと調整が入る
  4. 二番底が最初の安値を割らずに切り上がる
  5. 戻り高値を突破して上昇が加速する

最も重要なのは、第2段階の急反発だけを見て反転と判断しないことです。

最初の安値は売り流動性を取り込んだ地点ですが、それだけでは一時的なショートカバーの可能性が残っています。二番底が最初の安値を割らず、さらに戻り高値を突破することで、初めて買い手優位への構造転換が確認されます。

第1段階:下落トレンドが継続する

最初の段階では、価格が高値と安値を切り下げながら下落します。

反発しても前回の高値を超えられず、戻り売りが入りやすい状態です。市場参加者は下落継続を前提として行動するため、徐々にショートポジションが増えていきます。

この段階では、主に次の注文が発生します。

  • 戻り高値からの新規ショート
  • 下落トレンドを追随する売り
  • 既存ロングの損切り売り
  • 安値割れを狙うブレイクアウト売り
  • 下落に乗り遅れた参加者の追随売り

価格が下がるほど、弱気の市場参加者は増加します。

一方で、下側には既存ロングの損切り注文が蓄積します。その損切り価格が市場参加者から見て明確であるほど、大量の売り注文が発生しやすい状態になります。

第2段階:流動性の掃除とビッグウィックの発生

下落が進むと、ある時点で価格が急激に安値を更新します。

ここでは、下側に蓄積していた売り注文が一気に執行されます。

具体的には、次の注文です。

  • 既存ロングの損切り売り
  • 安値割れを狙う新規ショート
  • 下落加速を見た追随売り
  • 自動売買によるブレイクアウト売り
  • 証拠金不足や清算による強制決済

これらの売り注文が連鎖すると、価格は滝のように急落します。

しかし、下値で待っていた大口の買い手が大量の売り注文を受け止めると、価格は最安値圏に定着できません。ローソク足では、長い下ヒゲを伴う急反発として現れることがあります。

この長い下ヒゲは、下値で強い買いが入った可能性を示します。

ただし、長い下ヒゲが出ただけで反転が確定したわけではありません。

一時的なショートの利益確定や、急落に対する自律反発でも同じ形は発生します。したがって、この時点では「反転確定」ではなく、流動性の吸収が発生した可能性がある地点として扱います。

第3段階:最初の安値から反発し、戻りと調整が入る

最初の安値で売りが吸収されると、価格は急反発します。

安値割れでショートした参加者は、価格の急回復によって含み損を抱え始めます。先にショートしていた参加者も、利益を確定するために買い戻します。

この段階では、次の買い注文が重なります。

  • 安値で入った大口の買い
  • ショートポジションの利益確定買い
  • 急反発を確認した短期ロング
  • 安値割れの失敗を見た買い戻し
  • 損切り後に入り直す元ロング

その結果、価格は最初の安値から大きく戻します。

しかし、反発の途中では利益確定売りや戻り売りも入ります。そのため、価格は一直線に上昇するのではなく、いったん高値をつけてから再び下落します。

ここで市場は、最初の安値付近に買い手が本当に残っているかを確認しにいきます。

この再下落が、次の二番底を形成する過程です。

第4段階:部分的な充填と切り上げた二番底

価格は反発後の高値から再び下落します。

ただし、再下落しても最初の安値までは到達せず、最初の安値よりわずかに高い位置で下げ止まります。これが部分的な充填、つまりPartial Fillを伴う二番底です。

二番底が最初の安値を割らないことには、重要な意味があります。

最初の急落では、大量のロングの損切りと新規ショートが発生しました。それらの売り注文の多くは、最初の安値ですでに市場へ取り込まれています。

そのため、二番底では最初の安値ほど大規模な売り注文が残っていません。

価格が最初の安値に接近しても割れない場合、次の可能性が考えられます。

  • 最初の安値で売り流動性の大部分が吸収された
  • 下値を待つ買い手が最初の安値より高い位置から買っている
  • ショートが安値更新を期待しても価格を押し下げられない
  • 売り手の注文量または継続力が弱くなっている
  • 買い手が安値を切り上げながらポジションを構築している

つまり、二番底の切り上げは、単なるチャート上の形ではありません。

同じように売られても、以前の安値まで下がらなくなったことが、買い手の強さを示しています。

ただし、二番底が形成された時点でも、パターンは完全には成立していません。

価格が反発しても戻り高値を突破できなければ、再び売られる可能性があります。買い手優位を確認するには、二番底からの反発に加えて、直近の戻り高値を上抜く必要があります。

第5段階:戻り高値突破で上昇が加速する

二番底から反発した価格が直近の戻り高値を突破すると、下落構造が終了した可能性が高まります。

これまでの相場は、高値と安値を切り下げる下降構造でした。しかし、二番底が最初の安値を割らず、その後に戻り高値を上抜くことで、価格構造が次のように変化します。

  • 安値の切り下げから、安値の切り上げへ転換
  • 戻り高値での売り優位が崩れる
  • 下落継続を期待していたショートが含み損になる
  • 新規ロングが参加しやすくなる
  • 上昇を確認したトレンドフォロー買いが入る

戻り高値の突破後は、複数の買い注文が重なります。

  • 二番底から参加する新規ロング
  • 戻り高値突破を確認した追随ロング
  • ショートポジションの損切り買い
  • 最初の安値から保有しているロングの買い増し
  • 下落終了を確認した中期参加者の新規買い

ショートポジションの損切りは、反対売買である買い注文として執行されます。

そのため、戻り高値を突破すると、新規ロングだけではなく、売り手の撤退も上昇の燃料になります。結果として、買い注文が連鎖し、価格が急角度で上昇することがあります。

流動性の吸収ボトムパターンの本質

流動性の吸収ボトムパターンの本質は、最初の長い下ヒゲでも、見た目が二番底になったことでもありません。

本当に重要なのは、次の3点です。

①最初の安値で大量の売りを吸収したこと

ロングの損切り、新規ショート、追随売りが一度に発生したにもかかわらず、価格が最安値圏に定着しません。

売り注文の増加に対して価格が下がり続けないことが、吸収の最初の兆候です。

②二番底が最初の安値を割らなかったこと

再び売られても、価格が最初の安値まで届きません。

これは、売り注文が減少したか、買い手が以前より高い価格から積極的に買っていることを示します。

③戻り高値を上抜いて下降構造を終わらせたこと

安値を切り上げただけでは、まだレンジ内の反発にすぎません。

戻り高値を上抜くことで、高値と安値を切り下げる下降構造が崩れ、買い手への主導権移行が確認されます。

オーダーブロックとの組み合わせ

オーダーブロックは、指値注文が集まるところで、価格のトレンドが止められやすい傾向にあります。

またこのオーダーブロックが、突破されると(できれば一発で抜ける状態が望ましい)ブレイカーブロックと呼ばれるものになり、押し目買い・戻り売りのポイントになります。

オーダーブロック

このオーダーブロックが、ビッグウィックと二番底の売りを吸収していることが確認できることが重要です。

オーダーブロックが存在すれば、そのエリアに流動性が十分にあると考えられます。

その後に下降トレンドラインを突破した際のロング時に確信が高まります(もしオーダーブロックが明確に確認できない場合、プルバックして流動性を拾ってくる可能性があります)。

流動性の吸収ボトムパターンの実戦例

いくつか流動性の吸収ボトムパターンの実戦例を紹介します。

確認するポイントは以下の通りです。

  • 左側に大きな下ヒゲを有する大きな陰線(重要な安値を一時割り込む)
  • いったん反発し下降トレンドラインを形成する
  • 再度反落して急反発した時の流動性を拾う(安値を切り上げる)
  • 反発箇所にオーダーブロック・ブレイカーブロックが存在し、CVDが強気ダイバージェンス
  • 下降ウェッジをブレイクアウト
Liquidity Sweep(流動性の吸収)4時間足事例
Liquidity Sweep(流動性の吸収)4時間足事例

WTI原油の事例としては、2026年3月23日(月)に発生したトランプ大統領のイラク戦争期間の突然の停戦示唆による急落(99.43→84.37/▲15.1%)後のパターン形成です。

Liquidity Sweep(流動性の吸収)
Liquidity Sweep(流動性の吸収)

下ヒゲ出現を確認したあとの反発を見て、買いたいところですがレンジに戻り切れずに再度反落して二番底を形成しています(Partial Fill)。

ここで確認することは、反発したエリアがオーダーブロック(過去に強力な反発が確認された最後の陰線)ないしブレイカーブロックであるかどうかです。

存在すれば、そのエリアに流動性が存在しますので、その後に下降トレンドラインを突破した際のロング時に確信が高まります(もしオーダーブロックが明確に確認できない場合、プルバックして流動性を拾ってくる可能性があります)。

その後、下降ウェッジ上値抵抗線のブレイクアウトで上昇していきましたがブレイクアウト後にとったロングポジションのターゲットとしてはBic Wickの値幅をブレイクポイントに加えた数値が好ましかったようです。

Liquidity Sweep(流動性の吸収)ボトムパターンのまとめ

流動性の吸収ボトムパターンは、最初の急落で大量の売り注文を取り込み、二番底で残っていた売りを吸収した後、戻り高値を突破して上昇する反転構造です。

プライスアクション「流動性の吸収ボトムパターン」

重要なのは、長い下ヒゲだけを見て買わないことです。

最初の安値から急反発しても、単なるショートカバーで終わる可能性があります。その後の調整で二番底が最初の安値を割らず、さらに直近の戻り高値を上抜くことで、買い手優位への転換が明確になります。

Liquidity Sweep(流動性の吸収)
Liquidity Sweep(流動性の吸収)

このパターンを判断する際は、次の順番を確認します。

  1. 下落トレンドが継続している
  2. 急落と長い下ヒゲによって売り流動性を取り込む
  3. 最初の安値から反発し、再び調整する
  4. 二番底が最初の安値を割らずに切り上がる
  5. 戻り高値を突破し、ショートカバーと新規ロングで上昇する

最初の安値は流動性を吸収した地点、二番底は買い手の防衛を確認する地点、戻り高値突破は買い手への主導権移行を確認する地点です。

この3つを区別することで、単なる急反発と、本格的な強気転換を見分けやすくなります。

このプライスアクションは、オーダーブロックと組み合わせることでより精度を高めることができますので、Trading Viewで設定をして取り組みましょう。

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