こんにちは、cohamizu(@cohamizu1)です。
今回はチャートパターンの一つ『スローリバーサル』について解説します。
『スローリバーサル』とは、トレンド転換を示すブリッシュリバーサルまたはベアリッシュリバーサルの派生系です。
ブリッシュリバーサル・ベアリッシュリバーサルが重要な高値・安値を一時的にブレイクしたのちに相場が急速に逆行してトレンドが転換する現象ですが、『スローリバーサル』の場合はゆっくりと逆行して戻っていきます。
ブレイクした大陽線・大陰線を全戻しすると最終的に逆方向に相場が急伸するため新規ロング・新規ショートをポジションメイクする好機となります。
前提条件は、対象の相場が上昇トレンドを維持していることが条件で、トレードの対象はアメリカの代表的な株価指数「S&P500」をはじめとした株価指数、個別株、FX、原油・金・銀などの商品などあらゆる投資対象に適用されます。
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スローリバーサル特徴・チャートパターン・エントリーは?
『スローリバーサル』とは、何度もレジスト・サポートされたレジスタンスライン・サポートラインを大陽線・大陰線で一旦ブレイクした後、相場が徐々に戻っていき全戻ししてしまう現象を示しています。
大陽線・大陰線が完全に戻されてしまうと、最初にブレイクした方向とは逆方向に相場が急伸していくため大きな利益を獲得する好機になります。
基本的な手順は以下のとおりです。
- 何度もレジスト・サポートされている水準に水平線をひく
- その重要なレジスタンスライン・サポートラインを1時間足終値でブレイクするのを確認する
- その後、相場がゆっくり戻りブレイクした水平線内に再び戻る
- 完全に戻ってレジスタンスラインのブレイクに失敗したらショート、サポートラインのブレイクに失敗したらロングする
- 利益確定ポイントは1時間足200SMAまたは800SMAの二段階で実行する
スローリバーサルの基本的な形状と特徴
スローリバーサルの基本的な形状は、急騰した大陽線からゆっくり全戻しするか、急落した大陰線からゆっくり全戻しした形状で、トレンドが転換したことを示す象徴的なチャートパターンです。
大陽線・大陰線の全戻しが完了すると相場は、トレンドの起点となった200SMA(200本単純移動平均線)、800SMA(800本単純移動平均線)に急速に戻っていきます。
大きな値動きを伴い、捕捉できれば大きな利益に直結することが特徴です。
逆にこのトレンド転換を認識できず従来どおりのポジションとしていた場合は、大きな損失につながるためトレードの死命をわける重要なプライスアクションです。
通常のリバーサル(逆行現象)は、以下のような形状でブリッシュリバーサル・ベアリッシュリバーサルという名称です。
トレード事例①:GOLD歴史的高値のブレイク失敗
著名な例が、2023年12月4日に過去最高高値を更新したGOLDの相場で、アジア時間8:00~9:00で大陽線を形成したものの徐々に下落し始め、すべての上昇幅を消してしまうと反対方向に急落しています。
このときのGOLDは、1時間足200SMA(青線)まで急落した後、62EMA(黄太線)に絡みつくように動きが収束して力を貯めていましたが、その後一気に1時間足800SMA(緑線)まで急落してそれまでの上昇トレンドを帳消しにしています。
この歴史的なブレイクアウトの失敗は、その後のGOLDの上昇機運を一気にくじいたらしく、その後3ヶ月以上もレンジ内で行ったり来たりしてはっきりとしたトレンドが出現しない状態に陥っています。
トレード事例②:WTI原油 78.20ショート→800SMA=75.10(予定)(期待利益+3.96%)
ブレイクアウト失敗後は、反対方向に急伸する好事例が2024年2月22日~2月23日にかけて発生したWTI原油の値動きです。
1週間以上も上抜けできなかった上値抵抗帯をNYタイムで一時的にブレイクしたものの、その後上昇がとまってゆっくりと下落し再び上値抵抗帯の内側に戻って暴落しています。
このときは上値抵抗帯を下抜けた78.20でショートし、▼2.12%も下落した76.54で引けて反対側のサポートラインを割り込んでしまっています。
まだ利益確定していませんが、1時間足800SMAまで下落してこれまでの上昇トレンドが消滅するというシナリオです。
スローリバーサル完成後の利益確定ポイント
このスローリバーサルの利益確定ポイントについて説明します。
相場のトレンドは1時間足800SMAから発生して、1時間足62EMAを伴ってトレンドを形成した後、トレンドが終了するとまた1時間足800SMAに戻っていく性質があります。
そのため概ね1時間足800SMAに回帰したら利益確定して、新たなトレンド発生を待つ方針が得策です。
スローリバーサルの精度を高める指標
『スローリバーサル』単体による精度をより高めるため、それを補足する指標も確認し、ブレイクアウト失敗で逆行する方向性で良いのか確認しておきましょう。
代表的な指標としてチェックしてほしいのが以下の3つです。
- Fear-and-Greed Index
- IGクライアントセンチメント
- 米10年国債利回り
①Fear-and-Greed Index
Fear-and-Greed Indexとは、アメリカの大手メディアCNNが提供している株式市場の市場心理を示す指標です。
Fearは恐怖、Greedは貪欲を意味しており、株式市場が過熱しているときにはEXTREME GREED(極度の貪欲)となり、反対に暴落などで市場心理が冷え切っているときにはEXTREME FEAR(極度の恐怖)となります。
Fear-and-Greed Indexのパラメーター | 市場心理 |
76~100 | EXTREME GREED(極度の貪欲) |
56~75 | GREED(貪欲) |
46~55 | NEUTRAL(中立) |
26~45 | FEAR(恐怖) |
0~25 | EXTREME FEAR(極度の恐怖) |
Fear-and-Greed Indexが効果的なのは、主に株価指数の動向です。
レジスタンスラインのブレイクアウトが失敗に終わったとき、過熱感があるEXTREME GREED(極度の貪欲)となっている場合は、上昇トレンドを維持できず急落していく可能性が高まります。
逆にサポートラインのブレイクアウトが失敗に終わったとき、恐怖感があるEXTREME FEAR(極度の恐怖)となっている場合は、下降トレンドを維持できず急反発していく可能性が高まります。
②IGクライアントセンチメント
IG証券とは、イギリスに拠点を置く、金融オンライン取引サービスのプロバイダー「IGグループ」が日本で展開するサービスで、株式・株価指数・外国為替証拠金取引・商品先物・CFD・バイナリーオプションなどを提供しています。
日本ではFXオンラインジャパンという会社名でしたが、2011年に「IGグループ」に統合されています。
この証券会社が提供している「IGクライアントセンチメント」は、グルーバルに展開している「IGグループ」の顧客がどのようなポジションになっているか示すものです。
個人投資家の習性は昔と今も変わらず、利益は一刻も早く利益確定して、損失は先延ばしにする傾向にあります。
そのため強い下降トレンドが発生するとショートが減ってロングが急増し、強い上昇トレンドの場合はショートが急増しロングが急減します。
このように逆行した方向に対して逆張りのポジションを持った個人投資家が急増すると、彼らが損切りすることでさらにトレンドを強化させるためIGクライアントセンチメントのチェックが必要なのです。
なぜかというと、これは相場の価格形成を考えるとわかりやすく、含み損を抱えた売り勢力が増加していくと最終的に損失に耐えきれずに現在の価格よりも高値で損切り(買い戻し)するため価格が上昇します。
逆に含み損を抱えた買い勢力が増加していくと最終的に損失に耐えきれずに現在の価格よりも安値で損切り(投げ売り)するため価格が下降します。
論理的には安値で買って、高値で売らなければ利益が出ませんが多くの人は今も昔もこれとは真逆の行動を取ってしまう習性があるようです。
③米10年国債利回り
米10年国債利回りは、アメリカ合衆国が発行する国債に投資する代表的な資産運用の方法です。
投資家は、この米10年国債に投資して確実な利回りを受け取るのか、それともリスクを冒して株式投資してもっと高い利回りを追求するのか、または金利よりもインフレ率が高ければ不動産に投資するのか、または原油・金などの商品に投資したほうが有利なのか天秤にかけます。
米10年国債利回りが仮に5%もあれば投資額から20年で倍の金利が支払われます。
一方である株式の株価収益率が20倍以上なら、論理的に2倍になるまで20年の歳月が必要という計算になります。
したがって下落リスクを抱えて株式投資するよりも国債への投資で確実な利回りを確保できると判断する投資家は多くなります。
2023年8月~10月ではS&P500がジリジリ下落していましたが、それは株価収益率が当時22~23倍に達していたため国債に対して魅力がないと判断されたことは間違いないといえます。
またこの金利に特に顕著に反応するのがGOLD・SILVERといった貴金属で、これらの貴金属は金利がつかないため、金利が上昇していく局面では下落しやすく、反面金利が急低下する局面では上昇しやすくなります。
そのため米10年国債利回り(名目金利)が、期待インフレの上昇率を超えて上昇している最中では、実質金利が上昇しGOLDが下落しやすい傾向になります。
一方で期待インフレ率に非常に相関性が高いのが原油で、期待インフレ率が上昇傾向なら原油は上昇しやすく、下降傾向なら原油は下降しやすくなります。
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この記事で掲載しているチャートは、Trading Viewを使っています。
とくに同じく持ち合いを示すトライアングルパターンをa・b・c・d・eでカウントするカウンティング機能、またはエリオット波動のカウンティング機能は、かなり便利で広く世界中のトレーダーに使われています。
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サクソバンク証券 | 0.5pips | 6.0pips | 0.3pips |
OANDA Japan CFD |
0.4pips | 3.0pips | 0.3pips |
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0.5pips | 3.9pips | 1.2pips |
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【まとめ】スローリバーサルの特徴・チャートパターン・エントリーは?
『スローリバーサル』とは、トレンド転換を示すブリッシュリバーサルまたはベアリッシュリバーサルの派生系です。
ブリッシュリバーサル・ベアリッシュリバーサルが重要な高値・安値を一時的にブレイクしたのちに相場が急速に逆行してトレンドが転換する現象ですが、『スローリバーサル』の場合はゆっくりと逆行して戻っていきます。
ブレイクした大陽線・大陰線を全戻しすると最終的に逆方向に相場が急伸するため新規ロング・新規ショートをポジションメイクする好機となります。
それまでのトレンドが転換するサインであり、大きな値幅を伴うため、一挙に大きくリターンを稼げるトレードチャンスとなります。
今回は、この相場でよく出現する『スローリバーサル』のパターン、またはエントリーポイントについて解説しました。
基本的な手順は以下のとおりです。
- 何度もレジスト・サポートされている水準に水平線をひく
- その重要なレジスタンスライン・サポートラインを1時間足終値でブレイクするのを確認する
- その後、相場がゆっくり戻りブレイクした水平線内に再び戻る
- 完全に戻ってレジスタンスラインのブレイクに失敗したらショート、サポートラインのブレイクに失敗したらロングする
- 利益確定ポイントは1時間足200SMAまたは800SMAの二段階で実行する
トレードの対象は、今回のトレードの事例で説明したアメリカの代表的な株価指数「S&P500」をはじめとして、FX、WTI原油・金・銀などの商品などあらゆる投資対象に適用されますので、トレード対象の銘柄を拡げて『スローリバーサル』が形成されている銘柄はないか見つけてみましょう。
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