Anchored VWAP戻り売りとは、急落の起点から引いたAnchored VWAPへ価格が戻った後、VWAP付近で買いが失速し、再び下落を再開するプライスアクションです。
大きな下落が発生すると、その後の上昇を見て「底打ちしたのではないか」と考える参加者が増えます。
しかし、その上昇がトレンド転換ではなくショートの利益確定や押し目買いによる一時的な戻りである場合、価格は下落起点から引いたAnchored VWAP付近で売り圧力に押し返されることがあります。
ここでは、この値動きを「Anchored VWAP戻り売りパターン」と呼びます。

重要なのは、価格がVWAPへ到達したことではありません。
下降構造が維持されている状態で価格がVWAPまで戻り、VWAP付近で買いが吸収され、さらに反転下落することで売り手が再び主導権を握ったと判断します。
本記事では、Anchored VWAPが戻りの目安として機能し、下落が再開するまでの流れを5工程に分けて解説します。
このプライスアクションは、FRVPと組み合わせることでより精度を高めることができますので、Trading Viewで設定をして取り組みましょう。
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Anchored VWAP戻り売りパターンの5工程
VWAPは出来高加重平均価格であり、Anchored VWAPは任意の起点から計算される平均コストを示します。
急落の起点からAnchored VWAPを引くことで、その下落に関わった市場参加者の平均コストラインを可視化できます。
価格がAnchored VWAPより下にある間は、起点以降の売り手が平均的に優位な状態にあります。
一方で、価格がVWAPを明確に上抜き、その上で維持される場合は売り手の優位性が低下している可能性があります。
ただし、Anchored VWAPは必ず反落するレジスタンスではありません。
重要なのは、どこからVWAPを引くか、そしてVWAP到達後にどのような値動きが現れるかです。
第1段階:強い下落インパルスが発生する
最初に明確な売り圧力による強い下落が発生します。
ローソク足では次のような特徴が現れます。
- 大陰線が連続する
- 戻りが浅い
- 高値と安値を切り下げる
- 直前の押し安値を明確に突破する
- 上昇時の陽線が短い
- 買い戻しが入ってもすぐに売られる
この下落の起点からAnchored VWAPを引きます。
ここで重要なのは、単なる高値ではなく市場構造を崩した下落の起点や、大量の売り注文が集中したと考えられる高値を起点にすることです。
強い下落が発生すると、それまでロングを保有していた参加者は含み損を抱えます。
同時に、下降を確認した新規ショートも参入します。
主な売り注文は次のとおりです。
- 下落起点付近からの新規ショート
- 上昇トレンド崩壊を確認した売り
- ロングポジションの損切り売り
- 安値更新を確認した追随売り
- 既存ショートの追加売り
この段階では売り手が完全に主導権を握っています。
第2段階:安値を形成し、買い戻しが始まる
価格が大きく下落すると、安値圏でショートの利益確定が入り始めます。
下落初期からショートしていた参加者には十分な利益が発生しているため、一部を決済する動きが出ます。
また、急落後は新規ショートも追いかけにくくなります。
この段階で発生する主な買い注文は次のとおりです。
- ショートの利益確定買い
- 安値圏での逆張りロング
- ショートのポジション縮小
- 安値更新失敗を見た買い戻し
- 自動売買による利益確定
これらの買い注文によって価格は戻りを形成します。
ただし、価格が上昇しただけでは下降トレンド終了とは判断できません。
下降トレンドにも利益確定による反発は頻繁に発生します。
重要なのは、その戻りがどこで止められるかです。
第3段階:戻りがAnchored VWAPへ向かう
安値からの反発が続くと、価格は下落起点から引いたAnchored VWAPへ近づきます。
この局面では、価格が上昇しているため買い手優勢に見えることがあります。
しかし、下降構造が維持されている限り、この上昇はトレンド転換ではなく戻りである可能性があります。
戻り局面では次の買い注文が発生します。
- 利益確定によるショートカバー
- 短期的な反発を狙うロング
- 安値圏での押し目買い
- ダブルボトム期待の買い
- VWAP突破を予想した先回りロング
一方、Anchored VWAP付近では売り手が待ち構えています。
そのため価格がVWAPへ近づくほど、売り手と買い手の注文がぶつかりやすくなります。
ここで確認したいポイントは次の3点です。
下降構造が維持されているか
戻り高値を突破していなければ下降構造は維持されています。
上昇の勢いが弱くなっているか
VWAP接近時に陽線が短くなったり上ヒゲが増えたりする場合、買いの勢いが弱まっている可能性があります。
VWAPまで急騰しすぎていないか
強い買い圧力でVWAPを明確に突破する場合は、戻り売りよりもトレンド転換を警戒する必要があります。
第4段階:Anchored VWAPで拒否される
価格がAnchored VWAPへ到達すると、新規ショートや戻り売りが入り始めます。
この価格帯では次の売り注文が重なりやすくなります。
- Anchored VWAPを基準とする新規ショート
- 下落起点から保有するショートの追加売り
- 反発局面で買ったロングの損切り売り
- VWAP上抜け失敗を確認した売り
- 上ヒゲや陰線を確認した短期ショート
売り注文が買い注文を上回ると、価格はVWAP付近で上昇を止めます。
ローソク足では次のような反応が確認材料になります。
- VWAP付近で長い上ヒゲが形成される
- VWAPを一時的に上抜いても終値で押し戻される
- 陽線の実体が小さくなる
- 強い陰線が直前の陽線を包み込む
- 小さな高値切り下げが形成される
- 反転陰線の安値を次足が下抜く
重要なのは、VWAPへの到達とVWAPでの拒否を区別することです。
価格がVWAPに触れただけでは売りの根拠として不十分です。
VWAP付近で買いが失速し、反転下落のサインが現れることで売り手優勢を確認します。
第5段階:安値を更新し、下落が再開する
Anchored VWAPで反落した価格が直近安値を更新すると、戻り売りパターンの完成度が高まります。
VWAPから少し下落しただけでは一時的な売り圧力の可能性があります。
しかし、直近安値を割り込むことで買い手が完全に防衛に失敗したことが明らかになります。
この局面では複数の売り注文が重なります。
- VWAPで入った新規ショート
- 反落確認後の追随ショート
- 安値ブレイク売り
- ロングの損切り売り
- 既存ショートの追加売り
特にVWAP突破からの反転を期待していたロングは、安値更新によって撤退を迫られます。
ロングの損切りは売り注文として執行されるため、下落圧力をさらに強めます。
新規ショートとロングの投げ売りが重なることで、下落は加速しやすくなります。
トレードのポイント
- 下落起点からAnchored VWAPを引く
- VWAPと戻り高値・供給ゾーンの重なりを確認する
- 上ヒゲや包み陰線など失速サインを待つ
- エントリーはVWAP拒否を確認してから行う
- 損切りはVWAP上抜けや戻り高値の上に置く
注意点
- VWAPを明確に上抜き、その上で推移する場合は無効
- 戻り高値を更新した場合は下降構造が崩れる
- レジスタンスが存在しない場所では精度が低下する
- 経済指標発表直後の急変動ではダマシが増える
- VWAP単体ではなく市場構造や出来高分析と併せて判断する
このパターンの本質
Anchored VWAP戻り売りパターンの本質は、VWAPが必ず反落させることではありません。
本質は次の3点です。
強い下落インパルスが先行している
先行する下落が弱い場合、戻り売りは十分に入りません。
まず市場構造を下方向へ変化させる強い下落が必要です。
戻り局面でも下降構造が維持されている
価格がVWAPへ戻っても、重要な戻り高値を突破していなければ下降トレンドは維持されています。
VWAP付近で売り手の反応が確認できる
VWAP到達だけではエントリー根拠として不十分です。
上ヒゲ、包み足、高値切り下げなどのプライスアクションによって、売り手が防衛していることを確認する必要があります。
FRVPとの組み合わせ事例
FRVPとは、期間固定出来高プロファイルの略で、1週間の期間固定で設定する方法が一般的です。
ここで確認できるのは、もっとも取引された価格帯であるPOC、70%の出来高を構成する価格範囲の上限=VAHと下限=VALが表示できます。

Nasdaq100の事例では、高値から固定したAVWAPを一時突破しますがすぐに押し戻されます。
ここでは期間出来高の70%の上限値VAHを突破したもののブレイクが継続せず引き戻されたことで弱さが確認できています。
次いで逆方向のVALまで下落し、一時買い戻されてサポートされますが、VALをブレイク・CVDの売りの出来高の急速な増加で価格が急落します。
上記のように直近安値から固定したVWAP=黄線を描画したチャートでは、戻り売りのポイントとして機能していますが、とくにFRVPで自動設定されるVAHと重複している箇所からショートするとかなりの下落を発生させています。

プライスアクション「Anchored VWAP戻り売り」まとめ
「Anchored VWAP戻り売り」パターンは、強い下落の後に価格がAnchored VWAPまで戻り、その価格帯で売り手が買いを吸収した後、下落を再開するプライスアクションです。
このパターンを判断する際は、次の5工程を確認します。
- 強い下落インパルスが発生する
- 安値を形成し、買い戻しが始まる
- 戻りがAnchored VWAPへ向かう
- Anchored VWAPで拒否される
- 安値を更新し、下落が再開する
重要なのは、価格がVWAPへ到達したことではありません。
下降構造が維持されている状態で価格がVWAPまで戻り、VWAP付近で買いが吸収され、さらに反転下落することで売り手が再び主導権を握ったと判断します。
Anchored VWAPはエントリーを自動的に決定する線ではなく、市場参加者の平均取得価格と、その価格帯における反応を観察するための基準です。
下降インパルスが前提、VWAP反落が初期確認、直近安値突破が下落再開の確認です。
この3つを分けて判断することで、一時的な自律反発と、本格的な上昇再開を区別しやすくなります。
このプライスアクションは、FRVPと組み合わせることでより精度を高めることができますので、Trading Viewで設定をして取り組みましょう。
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