WTI原油の見通し【2025年1月】/原油CFDトレードブログ

こんにちは、cohamizu(@cohamizu1)です。

WTI原油の向こう一ヶ月の上値目処は1バレル=75ドル半ばに達する場面があると想定しています。

1月はWTI原油にとって、12月の反発局面から発展して上昇しはじめる月度で、平均騰落率は+2.4%と年間で4番目に高い月度です。

原油価格の季節性/TradingView

また後述するファンダメンタルズにおいても欧米で大寒波が発生する予測が現実になりつつあり、原油などのエネルギーの一時的な需給の引き締まりが予想されます。

これにより原油価格は、11月22日以来、上値を抑制していた71.50を上回って引けており、さらなる上昇が期待されます。

今回は、取引レンジを切り上げた原油の今後の動向について分析します。

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WTI原油の趨勢を左右する外的環境について

原油価格は、2024年の後半では中東紛争で上昇する場面はありましたが、それが沈静化すると非OPEC+加盟国の供給拡大による供給過剰予測で低下するというプロセスを経てきました。

しかし2025年の供給過剰予測分は、OPEC+会合による減産延長によりほぼなくなっています。

よって供給のさらなる増加は、非OPEC+加盟国から求められ中でもアメリカのエネルギー政策の転換によるシェールオイルの増産がどれくらいの規模になるかが原油価格の低下要因になってきます。

一方で需要に関しては、インフレを抑え込むための利上げから利下げへと中央銀行の方針が転換されたことで、液体燃料の2025年消費量は2024年から拡大する予測となっています。

その中でも従来の中国の需要は長引く景気低迷から期待できず、今後はインド主導で石油需要の拡大を推し量ることになっていきそうです。

シェールオイルの生産拡大がピークを過ぎている可能性について

トランプ政権の新財務長官として起用されるスコット・ベッセント氏は、インフレ打倒・規制緩和・エネルギー資源の生産拡大により実質経済成長率3%を目指そうとしています。

その中でもエネルギー資源の生産拡大(ベッセント氏は日量300万バレルの増産を目標としている)は、バイデン政権で化石燃料採掘を制限してきた経緯から、政権交代により生産拡大かなり行われると考えられています。

またそれによる供給拡大によってエネルギー価格を抑制する狙いもあります。

しかし、アメリカが原油をフル生産して現在の生産量から目論見通り300万バレル増加させることに成功した場合でも、世界の供給量の3.8%を拡大するレベルなので原油価格の影響としては1バレル=71.8ドルが、69ドルのレベルに低下する程度にとどまります。

ところが肝心のシェールオイルの生産は、2023年11月にピークを迎えた後、日量2%程度生産量が低下しているのです。

出典:The Depletion Paradox

対数ハバート線形化のツールでは、各盆地の採掘可能な埋蔵量を正確に推定し生産ピーク時期を推定できます。

そしてほとんどのシェール盆地は埋蔵量の30%が生産されると産出量がピークに達すると予測されており、すでにシェールオイルは28~32%、シェールガスは30~34%採掘されているため、今後6ヶ月で生産量が大幅なマイナスに転落すると予測されています。

採掘されていない場所で新たな油井を掘ればよいのではないかと思うかも知れませんが、採掘されていないのは地質が悪いことが原因であり、2023年に採掘された場所よりも平均35%生産性が低いことが明らかになっています。

ということはアメリカのシェールオイル生産は、今後は市場が織り込んできたよりも少なくなってしまう可能性があります。

これについては、まだ予測の段階であることと、技術革新がこの問題を解決できる可能性もあります。

よって生産量の推移を注意深く観察する必要が出てきています。

インドの成長性と化石燃料の消費拡大について

化石燃料の世界需要の拡大を支える存在となったインド経済は、IMFの予測によると6.5~7.0%に及ぶ高成長が持続する見込みとなっています。

出典:IMF

この堅調な経済成長に支えられている点と、中国は化石燃料から電気へエネルギー転換を図っているのに対して、インドは国際エネルギー機関IEAによると2035年まで世界の石油需要の成長をリードすると予測されています。

長期的には2023年~2030年までインドでは日量120万バレル近い石油需要の増加が見込まれていますが、これは世界の需要増加の1/3以上を占める大規模なものです。

問題は、このインドの増加分が中国の景気低迷による需要の落ち込みをリカバリーしきれるかどうかです。

国際エネルギー機関(IEA)が12日に発表した12月の月報では、2025年の需給バランスは日量140万バレルの供給超過となる一方で、米国のエネルギー情報局(EIA)は12月の短期エネルギー見通し(STEO)で2025年は日量8万バレルの需要超過になると予想しています。

つまり現状では、ハッキリと需要超過となるのか供給過剰になるのか予測がバラけている状態です。

供給も需要も予測がバラけてきていますが、供給過剰を懸念する論調ばかりだったものが、徐々にトーンが落ちて供給不足も予測されてきたことは注意が必要だと思います。

過去20年間におけるアノマリーでは1月の原油価格は上昇する傾向

2024年度7月から11月まで原油価格は地政学リスクで急速に吹き上がる場面はあっても、基本的には徐々に高値・安値を切り下げて低下していくプロセスを経ています。

しかし原油価格の動向としては、この期間の調整は本来の姿です。

実は過去20年間の動向を確認すると、原油価格は12月には大底をつけ1月~6月まで上昇トレンドを形成する傾向なのです。

原油価格の季節性/TradingView

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原油価格の季節性は、1月の取引開始の数値を100とすると、前年の12月を起点として6月まで上昇していき9月か10月には天井をつけて10月~11月にかけて下落するという値動きをしています。

とくに1月~2月は、暖房需要により買い戻される傾向があるため、暖冬になるのか寒冷化が予測されるのかが重要になってきます。

2025年1月第1週~第3週は大規模な寒波が予測される

この点でも今年の1月は欧米でかなりの寒冷化が予測されており、原油の需要が一時的に押し上がり、寒冷化により石油の産出が停頓する可能性があります。

この急激な変化は、まだ原油価格に織り込まれていないため投資家は、原油ETFを買うことで上昇トレンドに乗ることができるはずです。

前述のとおり、原油価格は12月に底を打って翌年6月まで上昇していく傾向にあり、その上昇率はS&P500などの株価指数も上回るパフォーマンスになっているケースが多いのです。

したがってシンプルにETFを12月に買って翌年6月に利益確定するアイディアは、手堅い投資手法として知られても良いのではないでしょうか?

実際に株式・債券といった伝統的な投資対象だけでなく、ゴールドや原油などの商品を組み合わせてポートフォリオを構築する方法は、特にインフレが懸念される環境下では意識され、投資家に高いパフォーマンスを提供する場合があります。

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過去10年間1月原油先物曜日別騰落率

原油価格の季節性/TradingView

WTIの1月度の平均騰落率は冒頭に説明したように、+2.4%と年間で4番目に高い月度です。

したがってこれまでの売り目線から買いを狙う方向に目線を転じる必要があると思います。

そのうえで、さらにデータを絞り込み、何曜日に下落し何曜日は上昇傾向なのかを掴んでおいても良いでしょう。

それによると過去10年間1月のデータでは、明確に弱いのは月曜日、それ以外の曜日はすべてプラスというデータになっています。

まず月曜日が平均騰落率-0.9%・勝率42.55%と突出して弱いものの、水曜日(平均騰落率+0.25%・勝率65.96%)~金曜日(平均騰落率+0.35%・勝率51.06%)にかけて上昇していく傾で特に木曜日(平均騰落率+0.43%・勝率58.70%)に強くなりやすいアノマリーがあります。

したがって1月は買いから入る戦略だと決定した場合、以下のようなフィルターをかけることができます。

  • 月曜日は平均騰落率・勝率も明確な弱さがあるので、押し目買いポイントまで調整してくるのを待つ。
  • 月曜日の下落から引き続き弱い状態なら火曜日は見送るか、ロンドン~NYでロットを減らして買い戻す。
  • 水曜日は平均騰落率は低いが勝率は60%後半に達するのでロットを大きくし買いから入る。
  • 木曜日は騰落率は強いが勝率はやや低下するためロットを減らして買いから入る。
  • 金曜日はさらにロットを減らしてやはり買いから入る

買いから入ることを前提にしていますが、週末にかけて買われ過ぎと判定した場合は、月曜日に空売りできる好機も到来するかも知れません。

このように曜日別でフィルターをかけて無駄なトレードを避ける方法は、「ラリーウイリアムズの短期売買法」でも掲載されており一読されることをオススメします。

ラリー・ウィリアムズの短期売買法

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WTI原油1月テクニカル分析

ファンダメンタルズでは、1月の原油価格は引き続き反発が継続しそうですが、チャートを用いたテクニカル分析ではどうなのかを確認していきましょう。

現在のフェーズは、第2~第3波押し目買いのフェーズです。

週単位の見通しでは、上昇トレンド継続型のフォーメーションとなっている可能性を指摘してきましたが、どうやらフォーメーションは「ブルフラッグ」であり、12月30日でこれをブレイクアウトしている状態です。

ということは、「ブルフラッグ」のターゲットを計測して、それを上値目処としてロングで対応すべきフェーズです。

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WTI週足分析)上昇トレンドチャネルに沿って週足62EMAまで戻りを試す動き

WTI週足/TradingView

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WTIの週足を確認すると、11月22日以来続いた66.50~71.50間のレンジ相場を上抜けて引けたことで、無抵抗のゾーンが大きく広がって買い方にとって非常に有利な状況になっています。
特に10月14日に発生した流動性ギャップ(74.74~75.44)がまだ埋められていない状況ですので、少なくともこれを埋める値動きは必ず発生してくると考えています。
週足CCIで確認すると昨年の7月初旬以来の水準にまで回復してきており、0ラインを超えた現在の状況判断は「順張りで買い」となります。
ただしGMMA長期線はすべて下向きですので、空売りしている長期組がまだ優勢な状況ですので、戻り売りは警戒すべきです。
よってひとまず週足62EMAレベル=日足200SMAレベルまでの戻りがこの月度中旬で予測される値動きで、それ以降引き戻される可能性もあります。
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WTI原油日足分析)直近の上昇は10月14日に発生したギャップを埋める動き

WTI日足/TradingView

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WTI原油は、5波構成の上昇トレンドのさなかにあり、現在第3推進波が進行している状態です。
この上昇波動によって、10月14日の急落により発生した大きな流動性ギャップを埋める動きを期待しています。
この流動性ギャップが発生した時は、NY先物取引の立会時間終了間際で入ったニュースで急落して発生したものです。
そのため売買がかなり偏っているため、それを解消するためこの第3推進波で73ドル半ばまで価格が引き寄せられ、需給を均衡させてから第4修正波で71.50を再テストする動きが自然です。
このようにこれまで上値を抑えてきた抵抗帯が今度は、サポートに変わったのを確認してから再上昇し75ドル半ばを目指す展開が第5推進波だと推定されます。
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WTI原油の見通し【2025年1月まとめ】

先月の見通しは67ドルからの反発を予測しましたが、まずは11月から続いてきた71.50付近の上値抵抗帯をブレイクして引けています。

WTI日足/TradingView

したがって、この価格帯での攻防は買い方が勝利し、1月以降は抵抗帯だった71.50をボトムとして新たな取引レンジに移行すると考えてよいでしょう。

問題は上値目処がどれくらい広がるかですが、一時的な欧米の寒冷化で生産が停頓する傍ら、暖房需要で買い戻されていくため、日足200SMA=75ドル半ばまでレンジの上値余地はありそうです。

もちろん道は一直線ではなく、ときに引き戻されたり、かと思えば急速に上昇していく場合もあるでしょう。

こういった値動きを日足・4時間足などの大きな枠で捉えて、目先の小さな動きに惑わされず、自分の好むパターンに持ち込んで仕留めてしまうことが重要で、不得意な状況下では取引を避けて利益を積み重ねていくべきでしょう。

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この記事では、このように原油価格の見通しについて分析していますが、実際のWTI・BRENTのトレードは、日本ではGMOクリック証券、DMM CFD外為どっとコムCFDネクストなどが低コストで使いやすい証券会社です。

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