なぜ働き方改革は機能せず、賃金は上昇しないのか

相変わらずですが、日本は生産性が低い国です。
OECDの2017年度のデータでは一時間あたりの労働生産性は47.5ドルにとどまっています。
同時期のアメリカは72ドルとなり151.5%も高い水準です。

人手不足なのに賃金が一向に上昇しませんが、生産性がもともと低いのでは上昇しないのも無理も無いかも知れないです。
ではなぜそのような事態に陥っているのでしょうか。

日本の賃金制度自体が、無価値な残業を慢性化させ生産性を低下させる一因

ブラックな会社が無理やり働かせ長時間労働を強いている実情も一定の割合存在しますが、本来は労働基準法でそれは制限があります。
しかし労働者を守るはずの労働組合自体が特別な抜け道(36協定)を結んで実際には残業をかなりの量できるようにしているのが実情なのです。
これは労使それぞれにメリットが存在します。

1)企業は終身雇用制を前提にしており、簡単には首切りができません。

2)不景気になったとき日本の企業は、簡単にレイオフできないために、労働時間(残業)を減らすことで対応してきました。逆に景気が良いときは人をあまり増やさずに残業を増やすことで対応してきたのです。

3)36協定というのは、それを促進する抜け道で、企業が業績を拡大している時にたくさん残業できて、業績が後退している中では残業を減らしても雇用を確保するようにしてきたのです。

仕事に人をつけず、人に仕事をつける

働き方改革の中で裁量労働時間があれほど嫌われたのは、日本では雇用契約で一人ひとりにどのような業務を課すのか、またその範囲を規定した契約ではないからです。
従って無限に仕事を押し付けられないとも限りません。

日本以外の国では、例えばオーストラリアなどでは特に厳密で、仕事に人がついているので、その業務が消えると人もカットされます。職務がまずあって人がそれに割り当てられるという契約だからです。職務がなくなれば雇用もまた消えます。

こういったことが日本ではありません。人をまず雇って、部署ごとに仕事を割り振って所属する人に仕事を割り当てていきます。

従って能力が高くて早く終わると、仕事を追加で押し付けられ、結局はみんなと同じ時間で終わるように仕向けられます。または終わるまでみんな帰れないという状態になります。

この場合、人は忙しいふりをします。ないしは無駄な仕事を作り出しその処理に追われるように見せかけます。そうすれば、別の仕事を追加で押し込まれることもありません。

この状態であれば生産性が低いというのは納得がいきます。
無駄な仕事を行って薄く仕事をすることで、仕事が来ないようにして、限界ギリギリの状態まで仕事を押し付けられるのを避けるのです。

また人に仕事をつけているので、その人しか処理できないように仕事を囲い込み、できるだけ仕事の内容を薄くしていくのです。

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実際には残業が前提となっている給与体系

しかしそのように内容の薄い職務で生産性が低くても、日本人の労働時間が減る気配は一向にありません。

それは上記のように人は簡単に首切りできないので、残業をバッファーとした設計となっているため、基本給は安く、その分残業がある意味予算化されプールさているからなのです。

ほとんどの人は残業を前提とした基本給であるため、ほとんどの人は残業代がないと生活に困窮します。

その根拠に、私の身近でのとある職場では、いわゆる管理職に昇給したばかりの人は管理職であるため、残業がみなしとなり、ワンランク下だったときの残業代込みの賃金から実質減給となります。

こうなると別に昇格して職務の難易度も上がるのに給与が実質下がるといった滑稽な状態に陥りたくないと思うのが人情でしょう。
また残業をしなければ安い基本給なので、安すぎる基本給のために残業を無理やり作り出して、生活費の不足を埋めざるを得ないという結末に陥るのです。

このようにして日本の職場では、無駄な残業が蔓延し生産性が下がり、一向に上向く気配を見せないのです。
また、賃金も見せかけの働き方改革で残業を無理やり圧縮しようという試みを行っても、基本給がそもそも安いので実質減給になります。

無理もないのです。
もともと残業代を見込んだ基本給なのです。その水準は生活できない水準の安さなのです。
管理職に昇格して実質賃金が下がるのであればみなし分を超過するほどの、残業をすれば取り返せますが、程なく体を壊すでしょう。
またそれだけ働けば、お金を使う余暇もないはずです。

それは消費も盛り上がらないし、物価も上がらないでしょう。

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職務を設計し賞与・基本給で報いるべき

私は必要な仕事だけを割り出して、それを結合させ職務を組み立て、それに人をつけるという職務設計を専門的にやっていました。
無駄がないので、残業が起きにくくなっています。

一般的にこれをレイバースケジュールといいます。

しかしこれは驚くべきことに日本の職場では全く理解されません。
人事もそうなのです。まず人を雇ってそれに職務を割り振れと要求されてしまう始末です。

また現実に給与体系がそれに連動したものになっていません。
職務があるのであれば、それには基準がありそれを満たせば、給与水準はあがっていきます。
基準を満たした方へ、しっかりとした基本給で報いるべきなのです。
また管理職でなくとも特別な能力で代替できないほどの方なら賞与で報いるべきなのです。
一方で人に仕事が割り当てられるという給与体系は、人は存在給です。職務を果たしたことが基準にはなっていません。

今後もこのような考え方で染まっている日本の企業は、生産性は上がらず沈んでいく一方でしょう。