乱立状態のスマホ決済の行方

すでに~Payが乱立しすぎて、すべて言える人が皆無なカオス状態になっています。
これに先立つ電子マネーの勃興期から嫌な雰囲気は漂っていました。

キャッシュレスが進んでいる国として例によくあがっている「スウェーデン」では、決済の規格が国内の主要銀行が共同開発した共通決済アプリケーション「Swish」 で統一されており、ほぼこれで決済できます。
むしろ現金が嫌われており、キャッシュレス決済の比率のほうが高い状態です。

日本の電子マネーと同一の仕組み(felica)で有りながら日本より先行して、導入をした香港では「オクトパスカード」によってどこでもfelicaによる非接触決済ができます。
日本のようにWAONセブンイレブンで使えないようなことがありません。
子供に最初に渡すお小遣いが「オクトパスカード」となっていることは、割と有名なエピソードです。
香港では最初に決済機能は「オクトパス社」に一本化し、どのようなサービス機能であっても決済自体はオクトパスが握っていたため、どこでも決済できる状態を維持しています。

電子マネーの混乱

このオクトパスカードの技術が他でもない「felica」です。電子マネーを利用している方ならご存知だと思います。
しかしなぜ、香港では決済機能が一本化できて、日本ではできなかったのでしょうか。
電子マネーを使っている人なら恐らく困っていることの一つが電子マネーの種類があまりにも多いことでしょう。

現在提供されている電子マネーのサービスは、プリペイド方式だとJR東日本運営の「Suica」と相互利用できる交通系IC(10種類)、楽天運営の「Edy」、流通系だとイオン運営の「WAON」、セブン&アイ運営の「nanaco」
ポストペイ方式だと、ドコモと三井住友運用の「iD」、JCB運用の「Quicpay」
主要なものだけで上記6つあります。
しかもそれぞれが互換性がなく、これを持っておけばどこでも決済できるというものがありません。
外出して問題になるのは、イオン系のスーパーで買物をするのであればWAON、セブンイレブンないし税金・公金支払いはnanaco、JR間ではかなり相互利用ができるようになったのでJR利用やバスではSuica、駐車場では発行枚数が比較的多いEdy。この非常に混乱する互換性の乏しさが、本来便利になるはずだった電子マネーを不便なものに変えてしまっています。

確かにこれなら現金のほうがどこでも使えるので便利ということになります。
バカバカしいです。

コンビニは流石に殆どの決済手段に対応しているのですが、それ以外の商業施設の決済では特定の電子マネーにしか対応していません。
使えないとなった時に他の決済手段を考え即座に出さなければなりません。多分後ろに並んでいる人はイライラしているでしょう。
そのため事前に決済方法が何があるか、いちいち下調べが必要となっています。

電子マネーと名称がついているのであれば、お金の代わりとならなければならないのですが、厳密にはそうは言えません。
お金(通貨)は、商品化されたモノやサービスと交換できるものでなければならないからです。
つまり日本の電子マネーは、マネーではなく単に商品券などが姿を変えた程度のものでしかなかったと言えます。

またfelicaの読み取り機は高額で、 小規模な小売店で採用するのは結構な設備投資になります。
しかし、採用してもこのように電子マネーが雑多にあると対応しきれず、特段売上向上にも寄与しません。
どうしてこうなってしまったのでしょう。

電子マネーのカオス化の原因

上記の日本で出現している電子マネーと言われている、非接触ICはソニーの開発した「felica」が使用されています。
最初に電子マネーが出現したのが1997年香港で採用されたオクトパスカードでした。現在でも香港では決済手段の主要なものとして使われています。
日本ではJR東日本がオクトパスカードの実績から採用を検討し始めます。

オクトパスカード
決済機能→オクトパス社
サービス機能→採用事業者

と明確に決済機能と個別の事業者がポイントサービスなど個々に対応できるサービス機能を分けていましたが、
このJR東日本のケースでは本来はこのケースにならい
決済機能→ソニー
サービス機能→JR東日本
となる予定でした。
しかしソニーはJR東日本とそのような組み合わせを採用せず、個別に自分でも電子マネー(Edy)を開発してしまいます。

つまりSuicaは
決済機能→JR東日本
サービス機能→JR東日本
と決定的な過ちを犯してしまいます。一言で言えばチップが売れれば何でも良いというハードウェア中心の戦略で、マーケティング戦略不在でした。

その後、日本で立ち上がった電子マネーは
決済機能→各事業者
サービス機能→各事業者

となってしまいます。

このデメリットは、各電子マネーごとに決済機能がことなるため、相互に互換性がないことです。しかも各社顧客の囲い込みのために、ポイントカードの代替として次々と電子マネーを企画し乱立させていきます。
結果電子マネーが乱立し、特定の事業者でしか決済ができないものになってしまいました。

香港の例に倣えば
決済機能→ソニー
サービス機能→各事業者
となるためどこでも電子マネーで決済ができるはずでした。しかし現在は各事業者が各個バラバラにカードをばらまき中途半端に普及してしまいました。
もやは統合することは不可能です。
どこでも決済できないので、一つの電子マネーにお金を集中してチャージしておくことができず、その都度必要なだけチャージするということも多発しています。
結果、大手スーパーのレジで見ると、高齢の方ほど電子マネーというよりはプリペイドカードとして使っていて、ポイントが貯まるから必要な分しかチャージせず、レジでは「足りません」「チャージして下さい」という無駄な光景が繰り広げられています。
本来はSuicaと一緒で、サッと決済できるから人手が少なくてよいはずでした。現実はまるっきり逆です。ポイントカードのほうがまだマシな状態になってしまいました。

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QRコード決済もカオス

近年勃興した電子決済はどのようなものが出ているかといえば、最近では中国で爆発的に利用が拡大しているQRコード決済です。

この決済方法の最大の利点は、導入・ランニングコストの安さです。
プリペイドカードのような残高の概念がある方式だと、
クレジットカードのように
カード会社→国際ブランド→決済センター→決済代行会社
というルートを回避し直接決済されるため手数料を安くすることが可能です。
クレジットカードだと3%台の決済手数料は、送金アプリのpringなどでは0.95%。PayPayLINE Payなどの残高の概念があるサービスも当面は決済手数料を無料としています。
また、読み取りも従来のレジにバーコードを読み取る方式で導入するか、店頭にQRコードを備え付ければ決済はできるため、割とすんなりと導入できます。

しかしこれもやはり旗振り役が不在で、乱立し始め混迷を極めています。
初期投資のコストが非常に安い分だけ、電子マネーよりはマシかも知れないのですが致命的な欠点があります。

QRコードは純然とした技術としてはfelicaよりも前の技術で、読み取り能力は劣ります。スマホ決済の場合はいちいち起動させなくてはならず、felicaのようにかざせば完了というわけにはいきません。レジに並ぶようなスーパーマーケットは明らかに不向きです。
決済スピードはJCBが独自調査を行った結果が出ていますので、参照されてください。
結論から言えば、QRコード決済はクレジットカードにすら劣後します。
これまで使ってきた中では最速は楽天ペイで2秒程度でコードが表示されますが、「d払い」は最も遅く16秒でコードがでてきます。

レジでのキャッシュレス決済は現金よりも16秒早く完了、JCB調査

この決済スピードの遅さは致命的で、新宿駅の改札でQRコードを読み取らせようものなら読み取りきれず、後ろが詰まって大混乱になるでしょう。
また現在は、定額の料金しか決済できず多区間運賃決済はQRコードで決済処理する技術は現在ありません。
多数の利用者が見込まれる交通機関ではやはりJR東日本が採用したfelicaが決済速度が早く確実です。

もうひとつの欠点はセキュリティーで、これは「7Pay」の事件によってアカウントを乗っ取れば他のデバイスでも使えるようになるという、脆弱性が明るみになり、マイナーなペイメントサービス「コーナンPay」もかなりいい加減な作りだったため、一度利用停止に追い込まれています。
利用者が厳重なセキュリティを行っているか見極める必要があるため、利用者は2段階認証のなどのセキュリティや補償内容が十分か見極める必要があります。

すでに飽和状態のコード決済サービス

しかし、イニシャルコストが低廉なコード決済は、店舗にとっても導入しやすく2018年半ばよりOrigami PayLINE Pay楽天ペイPayPay、ドコモのd払い、フリマアプリのメルペイなど、複数有力なものが出現し始めました。
会員数からいえば楽天カードの重厚なバックボーンを持つ楽天ペイが優勢ですが、アンケートではLINE Payの利用が多く、小規模事業者はPayPayを採用することが多いなどバラバラです。
上記の3つは楽天ペイは前述の楽天カードの会員、PayPayはYahoo!のバックボーン、LINE Payはメッセージアプリ「LINE」の利用者数が膨大ですので、利用者が突出して多いのもうなずけます。

しかし、下記の図をご覧いただければ解るように、すでに決済手段が乱立した状態となっており、店舗側のオペレーションも支障をきたすレベルとなっています。

コード決済事業者間で相互利用ができる試みもありますが一部に留まっています。
このように統一規格が不在だったため、経産省の旗振りで2019年8月1日より統一企画のQRコード「JPQR」の運用が開始され、これ一つでどこでも決済できる状況を実現しようと模索し、利便性はかなり向上すると見込まれていました。

JPQRは失敗

しかし統一QRコード「JPQR」は結論から言えば失敗です。
現実、PayPayLINE Payも不参加を表明し、楽天ペイも最初から不参加です。

なぜこのような事になったのでしょうか。
それは経産省の動機が高度経済成長期の銀行の運営方針とダブるような護送船団方式だったからです。

コード決済を全国津々浦々まで広めるには、ユーザビリティの向上や、魅力的なポイントプログラム、そしてかなり地道な営業活動が必要です。

しかし、PayPay・LINE Pay・楽天ペイ・d払い・Origami Pay以外の下位に甘んじている銀行・小売業などのコード決済サービスは、そこまでしっかりとした営業活動を繰り広げていませんし、全くサービスは魅力的ではないです。
これは大失敗しているJ-Debitから何も教訓を汲み取っていないように感じられます。

現実に彼らのコード決済の利用者数の順位は下位に甘んじており、少し前には7Payが不正利用を受けて中止に追い込まれたことを記憶している方も多いでしょう。
銀行のコード決済は、かつて失敗したJ-Debitの仕組みを焼き直して再度押し込んだもので、みずほ銀行ですら無料送金アプリ「pring(プリン)」の仕組みに乗ったもので、新しい仕組みでもなんでもないです。

実はコード決済業者は、銀行にとっては驚異となっています。
例えば無料送金アプリ「pring(プリン)」は銀行間・個人間の送金の仕方を劇的に便利にしていながらコード決済の機能も実装しています。
LINE Payもそういった送金機能は優秀で、もともとメッセージアプリだったせいか、送金はごくごく簡単に行なえます。
Kyashなどもコード決済ではないですが、送金が簡単にできます。
このようにこれまで個人から個人へ、法人から個人へ送金は銀行を使って、彼らの営業日に合わせて、高額な手数料を支払って行われていたものがフィンテック企業では、365日24時間、ほぼ無料で行うことができます。
また、これで税金や公金支払いもフィンテック企業のコード決済対応が完了すると、これまで口座引落がされてきた業務もフィンテック企業が奪うことになります 。
間違いなく、銀行にとっては競合するサービスです。

JPQRが発案された本当の理由は、競合のコード決済業者に顧客を奪われて競争力を喪失し、営業努力もしない銀行や後発の小売業が「QRコード決済が乱立すると混乱がおきるのでデメリットだ」という理由をつけて、経済産業省などの国家の力を利用して先行勢力の築いたネットワークにタダ乗りしようというのがこのJPQRという統一規格の本質です。

JPQRの正体は、すでに旧勢力となった銀行や大手小売業を救うという「護送船団方式」でしかなく、タダ乗りされることにデメリットしか感じなくなったPayPay・LINE Pay・楽天ペイは不参加となったというのが実相なのです。

PayPayはアリペイ、LINE PayはWeChat Payと規格が統一されており、海の向こうの何億人ものユーザーが使える規格のほうが、足を引っ張るだけの国内勢よりも魅力的だということでしょう。

ガラパゴスな決済機能は淘汰される

QRコード決済の統一規格構想は、前述の経産省の何十年も昔の古い考え方のたのために頓挫してしまっています。
これからは、各社の体力や営業努力によって優劣が決まってきます。

また、QRコード決済は確かに低コストで導入可能ですが、高齢化社会に突入している日本でスマホを使いこなしてコード決済ができる老人がそんなにいるとは考えにくいです。
やはり一定数、利用できない人がいる状態になります。

では一方で電子マネーの方は未来はあるのでしょうか。
交通系の多区間運賃決済はやはり処理能力はfelicaが優れています。問題は、決済機能が統合されていないことなのです。

日本ではグローバルなペイメントサービスである、ApplePayGooglePayでもSuica・iDなどのfelicaによる決済手段を実装し、LINE Payは2018年秋に 「Quicpay」を実装しています。
felicaが使えるスマホ決済は、日本だけは確かに一日の長があり、現在の日本では使いやすいでしょう。

また公共交通機関を使う時に欠かせない交通系ICのSuicaは、
カードと端末機間のデータのやりとりを高速でさせる仕組みですが、端末機には高度の処理能力が欠かせず、端末価格が高価になっていました。
これをクラウド型(簡易版)を導入することでこのコストを大きく引き下げ導入時のコスト低下による普及促進を計画しており、合わせてSuica と地域交通 IC カード機能を併せ持つ 2in1 カード 「地域連携 IC カード」実現を2021年に向けて取り組んでいます。

上記の流れから考えると、felicaの機能を実装していけば良さそうに感じますが、現実は厳しいです。

冒頭に挙げたようにfelicaは決済機能が一本化されていないため、ユーザーは使えるか否か確認しながら利用することとなり、現実決済の段階で使えないことに気づく人もいるでしょう。
また、端末が高額で決済手数料も高額であるため、多少コストが下がったくらいではメリットはないでしょう。

ところが諸外国ではNFC Pay(EMVコンタクトレス)が普及し、特にEUでは2020年に非接触決済としてすべて採用が完了します。
実はApplePayGooglePayはこのNFC Payによる決済手段であって、日本だけがfelicaで対応しています。

NFC Payは、VISAなどではPayWAVE、MasterCardではコンタクトレスなどと呼ばれ、クレジットカードの加盟店でコンタクトレス決済のマークがあれば利用できます。
クレジットカード加盟店であり、読み取り端末があれば利用できるため、幅広く利用可能でfelicaのようにこの店でしか使えないという不便さがありません。

公共交通機関で欠かせない多区間運賃決済においても、海外の事例ではシンガポールやイギリスではNFC Payによる決済が始まっており、クレジットカード・デビットカードやApplePay・GooglePay利用可能なスマートフォンでは、小売だけでなく公共交通機関も非接触で決済可能なのです。
※イギリスは税金もApplePay・GooglePay利用可能となっています。

NFC Payはグローバルに利用できる利点もさることながら、読み取り機自体がfelicaに比べて1/4の価格と安価であることも大きな強みです。

日本では一般的にはなっていませんが、マクドナルド・ローソン・ゼンショーグループでは採用済みで、大手小売りチェーンではイオンが2020年3月に全レジに採用予定です。
またソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズではfelica・EMVコンタクトレス・接触の機能を1枚のチップにまとめた技術を開発しており、SMBCデビット・イオンカードで採用されています。

今後、渡航客の決済ではNFC Payであればすべて対応でき、スマホ1個でお店も交通機関も利用できる利便さを提供できます。
また、VISA・Masterなどの国際ブランドに加盟すれば、幅広く決済でき、端末も安いため実店舗にとっても大変便利なため、2020年に向けて利用できる商業施設は増加すると思います。

決定打になるのはApplePay・GooglePayでNFCでの決済対応が日本で改めてリリースされることで、利用のされ方が段違いに伸びるはずです。

こうなると現在の代替として利用されているiDQuicPayといったfelicaの技術を活用したポストペイ型のペイメントサービスは利用価値がなくなり終息するでしょう。

小売の現場も、無数のペイメントサービスを実装しなくても良くなるため、体力のある大規模小売業の決済端末はNFC Pay(EMVコンタクトレス)へ順次切り替わりそのタイミングで不便なfelicaはフェードアウトしていくでしょう。

QRコード決済は、日本のクレジットカードの決済手数料が高いだけに、生き残る余地は大きいのですが、決済だけの機能では生き残ることは難しく、「pring(プリン)」のように送金機能など銀行の機能を上回るサービスをIT技術を用いて凌駕していきながらラインロビングしたものが最終的に利便性で市場から選択され勝ち残りそうです。

多数の乗客をさばなくてはならない都市部の鉄道ではfelicaは残るかも知れませんが、郊外のバスなどの公共交通機関ではフェードアウトは避けられないでしょうあ。
決済スピードが少々遅くても対応できるバス・タクシーは、NFC Payに取って替わられます。

原因は相互利用ができないことで、要するに不便さです。

しかしキャッシュレス決済の本来の目的である、人手不足への対応という面でも現金に戻るということはありえません。
むしろ増えすぎた選択肢を、より便利なものへ置き換えたり、統合したり、あるいは不便なものをやめることでfelicaもQRも淘汰を受ける可能性があります。

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