楽天が運用しているコード決済「楽天ペイ」は、2020年春に交通系電子マネー「Suica」の発行・チャージができるようになります。
目下Suicaを運用するJR東日本は、ほぼ同じスケジュールでイニシャルコスト(導入経費)を大幅に削減した簡易版の新システムを導入する予定です。
簡易版導入の狙いは、そもそも公共交通機関を利用する際の改札の処理能力を想定したオーバースペックなシステムから、クラウド型にして端末側で情報を持たない仕組みにすることでコストを下げて小売店などに普及させていくのが狙いです。
上記の2つのスケジュール感が同一なのは、JR東日本の意欲が並々ならないものだからでしょう。
コード決済のデメリットを補うfelica
コード決済は、イニシャルコストが低いため導入は容易ですが、
デメリットとしては、少なくともスマホのロックを解除して、アプリを立ち上げて、店員にスキャンしてもらうか、スキャンして決済金額を店員に見せる必要があり、決済に時間がかかり、列が並ぶようなスーパーでは不向きな点が上げられます。
決済スピードはJCBが独自調査を行った結果が出ていますので、参照されてください。
結論から言えば、QRコード決済はクレジットカードにすら劣後します。
これまで使ってきた中では最速は楽天ペイで2秒程度でコードが表示されますが、「d払い」は最も遅く16秒でコードが出てきます。
JCBは、現金、クレジットカード、非接触型決済、QRコード決済の4つの決済方法を対象に、決済速度に関する実証実験を行っ…
「楽天ペイ」のSuica実装は、LINE PayがGoogle Pay経由でQuic Payで支払いが可能となっているのと同じく、おサイフケータイの非接触決済のスピードを採用することができる有効な手段となりうることは間違いないでしょう。
その際のチャージのポイント付与は1.0%となる可能性が高そうです。
しかしJQ CARD エポス ゴールドで、常時2.5(リボ使用後の繰り上げ返済3.0%)%のモバイルSuicaチャージが可能であるため、わざわざ「楽天ペイ」によるSuicaは使用しなくても高い還元率は確保できます。
※JQ Card エポスはゴールドになるにはインビテーションによる、ゴールドへの切り替えが必要なので、少々時間がかかります。
JQ CARD エポスゴールドのインビテーションまで待っていられない場合は、
ビックカメラSuicaカードの発行がベターですね。
公共交通機関で利用する交通系ICのなかでも、いつでもどこもでチャージできて様々な決済にも使えるモバイルSuicaは非常に便利です。 このモバイルSuicaへのチャージで高還元なのはViewカード系ですがその中で非常に便利なのが「ビックカメ[…]
「JQ CARD エポスゴールド」は、「JQ CARD エポス」ではポイントサイト案件が存在しないため、最初は現在最もポイント還元が高い「colleee」(4,000円相当のポイント)経由で「エポスカード」発行しポイントの2重どりを完了した上で「JQ CARD エポス」へ切り替えを行い、インビテーションを待ちます。
「colleee」への登録は無料です。
さらに「エポスカード」保有者は「ご紹介番号」を保有しており、それを新規発行の方は入力すると、さらに500ポイント加算されます。
当方は「JQ CARD エポスゴールド」保有者ですので「ご紹介番号」を案内できます。
ご紹介番号: 20100198469
felicaのスペックは結局は江戸時代の藩札レベル
しかしです。
「楽天ペイ」などの新興ペイメント勢のfelica決済が可能になったとはいえ、電子マネーには欠点があります。それは香港のオクトパスカードのように決済機能を一元管理していないことで、サービスも決済も取り扱いが店ごとに異なることです。
Suicaなどの交通系は割合マシかも知れませんが、例えば楽天edyではイオンでは利用できません。イオンではWAONは利用できますが、nanacoは使えません。セブンイレブンでは楽天edy・nanacoは利用できてもWAONは利用できないなど、使用可能な実店舗がまばらで、どこでも同じ価値で商品やサービスに交換できるお金の利便性を満たしていません。
ようするに江戸時代の藩札程度のレベルでしかないわけです。
これは非常に致命的です。
決済に関して電子マネーを搭載して速度の速さを確保したところで、利用店舗は限定的な状況はかわりありません。
また、交通系ICが相互利用できるようになっているとはいえ、リーダーは依然として価格が高く、管理するサーバーの費用や高額な委託金の問題もあるため、地域によっては交通系ICすら整備できていない地域があり、交通系ICですら全国津々浦々で使えるわけではないのです。
交通系ICの陸の孤島
都市圏に住んでいると交通系ICを使えないというシーンは珍しいのですが、使えない県も実は存在します。
その代表例が青森県・秋田県・徳島県・山口県です。
例えば山口県などでは、本州と九州の行き来で必ず経由する県であるにもかかわらずICが利用できるのは、九州からは玄関口の下関駅で「SUGOCA」は利用できなくなり、本州の広島からは、「ICOCA」の利用が南岩国駅まで3駅まで。
山陽側の路線は導入がある程度は検討されているものの、山口線・山陰線・宇部線は検討すらされていません。

これらの最大のネックは、人口のボリュームがさほどではない地域における事業者が負担する数億円規模にもなる導入費用です。
結局はイニシャルコスト・ランニングコストが吸収しきれないから、導入が一向に進まないのであって、そういった物理的な制約のあるペイメントサービスが、お金の代わりに果たしてなりえるのか甚だ疑問です。
県や県民の皆さんはICの要望を続けているようですが、要するに採算性として合わないのでしょうからコスト削減が実現しない限り導入は難しいと見たほうが良いでしょう。
そんな地域ではなぜ、低コストで導入可能なNFC Payの可能性を考えないのでしょうか。
世界ではNFCによる公共交通機関利用が可能に
しかし、ここ最近の世界の潮流では、非接触決済対応(NFC Pay)のクレジットカード・デビットカードで公共交通機関に乗車できるスタイルとなってきています。
ロンドンの地下鉄・バスはVISAタッチ決済で乗れます。
海外から来た方にとっては、別のICカードなど購入する必要がなく、残高を余らせる可能性もないですし、減ってしまってチャージする必要もないため非常に便利です。
ちなみにイギリスでは、Apple PayやGoogle Payでも納税ができます。
シンガポールでは、2019年4月から非接触型決済対応のクレジットカードやデビットカードでそのまま地下鉄に乗れるサービス「SimplyGo」の運用が開始されています。
ニューヨークの地下鉄でも、2019年5月に、同様の「OMNY(One Metro New York)」というシステムで非接触型決済対応のシステムをとっています。
考えなければならないのは、Google PayやApple Payといったグローバルな決済方法は、基本的にはNFC Pay決済であって、日本のSuica・iD・QUIC Payへの対応は異例であるということです。
つまり、IC未導入の地域であろうが、導入済みの地域であろうが、NFC Payが一般的になった国からの渡航者にとっては、どっちみち互換性はない支払い方法です。
NFC Payの利点は以下の3つになります。
・Apple Pay、Google Payなど海外のコンタクトレス決済の主流はこれであり、インバウンドを狙うならこれが必須であること。
・現在決済できる店舗がバラバラな電子マネー、QRコードに比べて、VISA・Master・JCBなどの広範なブランドで利用可能なこと。
・リーダー・チップの価格もfelicaに比べて遥かに安く、felicaチップをスマートフォンに入れるだけで1万円相当のコストアップになる一方でNFCは数百円の世界であり、販売されている機種は基本NFCを搭載していること。
特に2つ目のインバウンドでは、そもそもキャッシュレス化を推進しているのですから、海外で広く使われている方法が良いわけですし、海外の方が日本で銀行口座を持たないのに、冒頭の 「楽天ペイ」 や「d払い」・PayPayなどのコード決済を利用するとは思えません。
※JR東日本は、QRコード決済も対応できる改札を実験展開しましたが、ナンセンスですね。
おまけにNFCによる決済は非常に早いです。
大量の顧客をさばく必要がある、都市部の公共交通機関ならいざしらず、バスや実店舗の少額決済程度なら十分すぎる速さです。
ただ日本ではまだ一般的ではなく、採用しているチェーンは「ローソン」「マクドナルド」「イケア」「ゼンショーホールディングス(すき家)」などになります。
2020年3月までにはイオン全店で、このNFC Payは実装されていっていますので、そうなると他のチェーンストアでもNFC Payは今後実装されていく可能性は高いと思います。
そうなると普及は加速していくでしょう。
結論
日本の首都圏をカバーするSuicaと提携すると現状の決済額は大きいかも知れません。
しかしNFC Payが勃興し利用できる実店舗が広がるに従って、人口の少ない地域の公共交通機関の決済や乗客の数が限定的なバスにとって明らかにオーバースペックで導入も維持も難しいfelicaは淘汰されてしまう可能性が高いと思います。
別個ICカードなど用意しなくても普段使っている決済方法で使え遥かに汎用性が高いNFC Payが取って代わる可能性が高いでしょう。
楽天ペイがSuicaと提携したことは日本中を驚かせましたが、felicaは高すぎるコストという障害を乗り越えられない以上、採用できる実店舗が大規模なところに限定されます。
したがってTOYOTA Walletのように汎用的な決済方法を実装したペイメントサービスのほうが、やがては旧勢力を押しのけて行く可能性が高いと思います。
つい先日「Google Pay」が一部ではありますが、6銀行のデビットカードに対応してNFC Payに対応し始めたことから、ようやく~Payとかの還元率だけ派手でちぐはぐで不便な決済サービスではなく、グローバルで便利な決済サービスを利用[…]
人口の少ない地域でNFC Payによる公共交通機関の決済方法の導入が実現してしまうとfelicaはシュリンクしてやがては消えてなくなるでしょう。
したがってSuica導入が実現しても本命にはならず、むしろTOYOTA Walletなどの先見性のある決済方法に注目した方が良いのではないでしょうか。
※この記事でご説明した、NFCは Pay(コンタクトレス)を実装したデビットカードでは、楽天VISAベーシックが還元率1.0%・楽天スーパーポイントが決済で本当のお金のように使えます。
2020年5月11日、楽天銀行デビットカードにMasterCardブランドが登場しています。これで楽天銀行デビットカードは国内で決済できる主要ブランドを従来のJCB・Visaに加えてMasterCardも揃えたことになります。従来の楽天[…]
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