コンビニとスーパーの商圏を侵食するドラッグストア

GDPの6割は個人消費が占めている。
日本では消費支出が低迷しGDPも振るわない。しかし消費の中に好調な業態が存在しています。

一つはネット通販でこちらは年率2桁で成長しているのは、幅広く認知されているが、もう一つ著しく伸長している業態があります。
ドラッグストアです。

ドラッグストアの快進撃

身近な生鮮品などは保管に冷蔵ケースや冷凍ケースなどの設備が必要で、これは流石にネット通販の領域外となっている。ネットスーパという選択肢もあるが、これももともと大規模なスーパーの設備を使ったものであるため、従来のスーパーの延長線上にある。

そのため、従来の店舗を構えた営業が基本となり、ネット通販の影響は少ないのだが、こちらでも従来の棲み分けが崩れ始めている。

3,000人商圏を守備範囲としていたコンビニの既存店売上は2017年に劇的に変化を遂げ、既存店売上は昨年-0.3%と前年を割り込み、2018年度は売上はなんとか+0.6%増としたが、その中身は来店客数の低下を(2017年は前年-1.8%、2018年は前年-1.3)単価の向上で補ったのが現実で(2018年は客単価前年+1.9%)と完全に後退期に入っている。

また同年2018年、1~3万人の商圏をターゲットとしているスーパーでも、売上は-0.2減少しており、3年連続で減少している。

ところがドラッグストアは大幅に売上が向上し、特に売上ランキングの上位に名を連ねる企業になると2桁伸長している。

2018年ドラッグストアランキング

1位)ウェルシアホールディングス/売上6,952億円/前年比111.6%
2位)ツルハホールディングス/売上高6,732億円/前年比116.7%
3位)コスモス薬品/売上高5,580億円/前年比111.0%
2017年と異なるのは、マツモトキヨシがついに3位から4位に転落し、コスモス薬品が3位に浮上したことで、この上位3社の前年比が著しく伸びている。

伸長の理由

この企業の店舗を見ると、食品を年々拡大している。
設備のあまり必要でない加工食品だけではなく、冷蔵ケースや冷凍ケースも装備し特にコスモス薬品になると店舗後方壁面はすべて冷凍食品で固めるなど特に強化している。
しかし、非常に薄利な生鮮三品や製造するスペースが必要なデリカは品揃えしていない。
※ただし冷凍した肉などは置き始めている。

問題は売価で生鮮三品がほぼなく完全な買い物はできないにもかかわらず、これだけ売れるのはやはり売価と、医薬品・日用雑貨・食品という品揃えの広さを利用しているからで、売価に関しては加工食品のいくつかランダムに調べてもスーパーをほぼ圧倒している。

これが実現できるのは、医薬品の高荒利率に支えられているためだが、もともとスーパーは薄利な生鮮三品を支えるため、加工食品の値段を下げることができないのに対し、ドラッグストアは医薬品が稼ぐ原資で食品全体の値入れを下げており、スーパーはどう考えても分が悪い。

また冷凍食品は利益が高いが、設備費は膨大であるため、既存のスーパーで改めて膨大な投資を行って冷凍ケースを導入することはできず、新規に出店してくるドラッグストアにごっそり取られるというのが構図だと思います。

そのため、最近はドラッグストアの2万人程度の商圏は1万程度になっていると言われシェアが高まった分、スーパーと商圏がかぶっています。
実際に2017年は中堅スーパーの倒産が相次ぎ、コンビニも閉店件数が155件と実は過去最多となっています。

こういった小商圏の業態からドラッグストアはシェアを奪っていると考えて良いでしょう。

またコンビニは本部としては売上額が上がれば良く、経費はこれまではオーナーに押し付けていました。
特に働き方に関しては全くの手付かずで、24時間営業に人手不足で、店舗との軋轢が生じ始めセブンイレブンでは社長が交代するという事態にまで発展している。

ところが、この上位に上がっているドラッグストアはローコストオペレーションが徹底していて無駄なことは一切しない。
コスモス薬品に関しては販売管理費率が15%しかなく、ローコスト運営が徹底している。ただし荒利も最初から安い価格で販売しているため、19~21%程度でしかない。

したがっていま流行りの~Payはコスモス薬品は一切非対応で、現金しか対応していない。これはクレジット決済など入れれば手数料は3%以上は持っていかれるので、最初っから低価格路線であれば現金しか対応できないでしょう。

実際の使い勝手は?

同じ小商圏で利用するコンビニは、オフィスに在社している時に利用することが多く、距離が近く、レジ待ちする時間もないため時間を損失したくないときに使用するものの、売価はスーパーの1.5倍程度であるため高頻度で使う必要はない。特にコンビニで一時野菜とかを扱っていたことがあったが、どう考えても高いので利用価値がなかった。

医薬品・日用雑貨や調味料などの加工食品はネットでも取り扱っているが、現実はドラッグストアのほうが圧倒的に安い。

これは個配の場合は、送料が加味されるためで、それなりの値入れをしておかないと採算悪化となるため、よくある〇〇○円以上は送料無料という水準をクリアしたとしても、ドラッグストアのような値段で手に入れるというのは不可能に近い。

こういった少量高頻度の消費はネットが不利だが、楽天市場の楽天24だと大容量かケースなどの割引が効く金額に達するまで商品をまとめ買いすると、他のところで購入するよりも遥かに安くなるなどの方法は存在する。

またアマゾンでは定期オトク便ではアマゾンの通常価格より10~15%割引となるため、該当する商品があれば定期で購入したほうが良いが商品は長期の保存の効くものやオムツなどの大きなものや容量の大きなものに限定されていく。

どちらにしても高頻度少量の買物は間違いなくドラッグストアのほうが安く、かつネットのように数日待つこともスーパー程来店客もいないためレジで待つこともない。

週に1回程度の生鮮のまとめ買いはさすがにスーパーを利用するが、その都度発生する買い足しや生鮮以外の買物については、短い時間で必要なものを買い足せるドラッグストアのほうが必然的に多くなる。スーパーはやはりまとめ買いに対応しているためか、駐車場も大規模であるため、場所はいわゆる郊外になりやすく、その場所に行くまでに一定の時間が必要になる。

つまり顧客の時間節約の面でも値段の面でもドラッグストアが優勢に立っているが、明らかな使い分けがされているので、それに気づいて立地や品揃えを適応させたところが、勝者となっている。

時間を節約する観点でも、高い買い物をしないためにも、ドラッグストアは大いに利用価値があるでしょう。