原油は2019年下落する

現在、2018年10月~12月まで下落の一途をたどり、1~2月で一旦のリバウンドを果たしている原油ですが、原油自体が動力源の燃料でもあり、様々な製品の原料でもあるため、その価格の動向は気になるところです。

現在の原油価格のリバウンドに対して、昨日は久々にトランプ大統領のツイートによる牽制が行われました。
その結果か否か、順調に一本調子でリバウンドしてきた原油は、1バレル=57.78ドルを記録していた原油は、本日55.03まで下落し高値からの下落率は4.57%に達しています。

原油価格の上昇は終わったのでしょうか、それともOPECの減産の継続で上昇し続けるのでしょうか。

原油の足元の需給は引き締まっている。


現在の原油価格の上昇はOPECが減産を行っているからだという推定がほとんどです。
確かに現在の需給は、非OPECの産油が日量で190万バレルの拡大に対し、OPECの減産が日量120万バレルであるため一見、70万バレルの産油の拡大に見えますが、需要の拡大見込みがありそれが産油拡大分からマイナスされると考えて良いでしょう。
現在では需要の拡大は日量ベースで140万バレル程度と考えられており、差し引きすれば70万バレルが足りないということになり、需給は引き締まり価格がより高く誘導されそうに見えます。

アメリカの産油は2019年劇的に伸びる

しかし、それは現在の状況下であればという前提です。

現在パーミヤン盆地などの主な産地で産油されているシェールオイルは、生産拡大を続けアメリカの産油は日量で1200万バレルと過去最高値に達しています。

しかし、アメリカの原油の問題は産油ではなく輸送の問題で、パイプラインなどの施設が十分ではなく、輸送にトラックや鉄道を使う必要が生じています。
例えば湾岸地域にある製油所や輸出拠点まで原油を運ぶトラック輸送費は1バレル当たり15~25ドル、鉄道では8~12ドルかかり、パイプラインの4ドル以下に比べてコストがかさむため採掘したくてもできなかったのが現状でした。

しかし既存のパイプラインを使って原油の流量を増やす新技術の開発に成功し輸送量は徐々に伸びています。また2019年8~12月にはパイプライン3本の開通が見込まれるなど、輸送問題が一気に解決見込みとなっています。

つまり早ければ夏には輸送の問題が改善されてしまうのです。
そうなると2018年12月のOPEC総会での減産分は単にアメリカのシェールオイル勢がシェアを奪うだけという結果となります。
OPECは減産することによる価格の引き上げによる収入増を目論んでいますが、シェアを失えば単に収入が減るだけとなります。

クリック証券【CFD】

レンティア国家のジレンマ

OPECには余裕がなく、価格引き上げに余念がありませんが、それは彼らの多くがレンティア国家だからです。

レンティア国家とは、天然資源などで得られる収入から国家の収入を依存している国家のことです。
概ね彼らの問題点は
1)天然資源に頼っているために、国内に他に依るべき産業がない
2)そのために原油価格の上下による収入の変化に国家の運営がかかっている
3) また国民は国家からの恩恵で生活ができるため、労働を敬遠する傾向が強い
以上の問題点があります。
またこれらの国は独裁政権で運営されており、下手をするとアラブの春のように政権が打倒される可能性があるため、バラマキ運営を行っており原油価格の損益分岐点がかなりあがっている状態です。

つまり、アメリカのシェールオイル勢のように採掘・輸送のコストではなく、それに加えて国民の福利厚生や日本では一般税源で賄われる普通の運営コストまで原油価格に依存しているのです。

当然、コスト競争ではシェールオイルに負けます。

彼らが国民にタダ飯を食べさせるために必要な割高な原油価格を市場に求めても、これまでは可能あっても、アメリカのシェールオイル輸送問題が解決されると、より安く手に入れられる原油があるのであれば、シェアを奪われ原油価格は下がります。

原油価格を高騰に導いてきたのは、投機的な原油への投資

原油は先に記述したように、株価のリバウンドと歩調を合わせて、同様にリバウンドを続けてきました。

このように本来価格の因果関係が無関係なはずの株価と商品が同じような動きをするのは、現在が流動性相場となっている証です。

その原油にどのようにして資金が流入流出してきたかチャートにまとめました。

やや誤差は見受けられますが、逆行現象が見られたのは2018年4~9月あたりまでで、それ以降は下落と資金の流出がリンクしています。
特に建玉がトップをつけたのが、2018年1~2月というのが印象的です。
なぜなら世界的に株価が最初のフラッシュ・クラッシュを経験したのが2018年1月末だったからです。
それ以降、主にリスクの高い新興国などから資金は流出し株価や新興国の通貨が暴落してきました。
それはFRBによる量的緩和の引き締めによる資金の回収が、リスクの高いところから影響を及ぼしてきたのです。
現在の株価や不動産、そしてこのように投機的なポジションが偏って投入されている商品などの価格は、量的緩和によって支えられてきたのです。
しかし、それは縮小の一途をたどってきています。

ただし原油は先程も指摘したように2018年4~9月は、建玉が減ってきているにもかかわらず価格は最高値をつけるなど矛盾した動きをしてきました。
しかし、2018年10月からの株価の下落と歩調を合わせて、値崩れを起こしたのです。

そしてFRBは、1/30のFOMC会合では、量的緩和についてバランスシートの縮小時期を状況に応じて見直すことを発表しています。
そのため株価や原油も呼応してリバウンドしてきました。
しかしそのFOMCが何ら行動を伴わない、会合であったことはいうまでもありません。彼らが行動するのは経済指標が悪化するまで、つまりリスク資産が暴落し逆資産効果で経済が後退してやっと行動に出てくるのです。

つまり株価はこの調子だとどこかでまた暴落します。
原油を支えているのは、投機的な資金である以上、株価の下落に歩調を合わせて原油は下落します。
シェールオイルが耐え切った30ドル近辺まで下落するかも知れません。

このように需給・資金の流入面でも原油価格は、恐らくこれまでのようには行かないでしょう。